ワインのブドウ品種にも、人間と同じように「親」や「きょうだい」がいます。近年のDNA解析によって、品種どうしの意外な親子関係がたくさんわかってきました。
このページでは、このサイトで紹介している動物たちの家族関係を、家系図のようにまとめました。「あの品種とこの品種は親子だったんだ!」という発見を楽しんでください。(このサイトで紹介していない品種は、点線の枠で表しています)
カベルネ・ソーヴィニヨンの両親
赤ワインの王様、カベルネ・ソーヴィニヨン(ライオン)。実はその両親は、黒ブドウのカベルネ・フラン(猫)と、白ブドウのソーヴィニヨン・ブラン(羊)です。17世紀ごろのフランス南西部で、自然に交配して生まれたと考えられています。名前に「カベルネ」と「ソーヴィニヨン」の両方が入っているのは、そのためなんです。
さらに、カベルネ・フランは、メルロ(ゴールデン・レトリバー)の親でもあります。つまり、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロは、片親が同じ「異母きょうだい」のような関係。ボルドーで一緒にブレンドされる2つの品種は、家族だったのです。
ピノ一族|変身する名門
ブルゴーニュの名門、ピノ・ノワール(蝶)は、とても古い品種で、そのぶん「突然変異」で姿を変えた仲間がたくさんいます。果皮の色が灰色がかったピンクになったのがピノ・グリ(カメレオン)、葉の裏に粉をふいたような白い毛が生えたのがムニエ(イルカ)です。
さらにピノ・ノワール(を含むピノの仲間)は、「グエ・ブラン」という古い白ブドウと交配して、たくさんの子どもを残しました。その中には、白ワインの女王シャルドネ(ユニコーン)、ボジョレーのガメイ(レッサーパンダ)、そしてミュスカデの原料になるムロン・ド・ブルゴーニュ(ハムスター)がいます。ブルゴーニュの主要品種たちは、みんなきょうだいだったのです。
そしてピノ・ノワールは、南アフリカでサンソー(ヤギ)と交配され、ピノタージュ(シマウマ)の親にもなりました。こちらは1925年に人の手で生み出された品種です。
トラミネール一族|白ワインの大家族
「サヴァニャン(トラミネール)」という古い白ブドウは、白ワイン用品種の中で特に多くの子孫を持つ、まさに大家族の祖先です。香りの華やかなゲヴュルツトラミネール(ハナカマキリ)は、このトラミネールの香りが強くなった変種。さらに、ソーヴィニヨン・ブラン(羊)、シュナン・ブラン(リス)、シルヴァーナー(鹿)、グリューナー・ヴェルトリーナー(コヨーテ)も、トラミネールの子どもだと考えられています。
ということは、ソーヴィニヨン・ブランの子どもであるカベルネ・ソーヴィニヨン(ライオン)は、トラミネールの「孫」にあたります。ワインの世界は、意外なところでつながっているんですね。
リースリングの子ども
ドイツを代表するリースリング(ペンギン)は、1882年にスイス出身のミュラー博士によって、ミュラー・トゥルガウ(ウサギ)の親として使われました。もう一方の親は、マドレーヌ・ロワイヤルという品種であることがDNA解析でわかっています。
シラーの両親
力強い赤ワインになるシラー(黒豹)は、フランスの古い品種「デュレーザ」(黒ブドウ)と「モンドゥーズ・ブランシュ」(白ブドウ)の子どもであることがわかっています。かつてはペルシャのシラーズという町から伝わったという伝説もありましたが、実はフランス生まれだったのです。
オーストリアと日本の「人の手で生まれた品種」
オーストリアのツヴァイゲルト(カモノハシ)は、1922年にツヴァイゲルト博士が、サンクト・ラウレントとブラウフレンキッシュを交配して生み出しました。
日本でも、日本の気候に合うブドウを目指して、新しい品種が生み出されてきました。新潟の川上善兵衛は、マスカット・ベリーA(柴犬)とブラック・クイーン(ニホンザル)を生み出しました。山梨大学では、日本の山ブドウとカベルネ・ソーヴィニヨン(ライオン)を交配して、ヤマ・ソーヴィニヨン(タヌキ)が誕生しています。
同じ品種なのに名前が違う「そっくりさん」
国によって呼び名が違うだけで、実は同じ品種、というケースもあります。
- ジンファンデル(アメリカ)=プリミティーヴォ(イタリア)=ツルイェナク・カシュテランスキ(クロアチア)
- グルナッシュ(フランス)=ガルナッチャ(スペイン)=カンノナウ(サルデーニャ)
- シラー(フランス)=シラーズ(オーストラリア)
- ピノ・グリ(フランス)=ピノ・グリージョ(イタリア)
- マルベック(アルゼンチン)=コット(フランス・カオール)
- カリニャン(フランス)=カリニェナ(スペイン)=カリニャーノ(サルデーニャ)
家系図を知ると、ワインはもっとおもしろい
親子やきょうだいの関係を知ると、「カベルネ・フランが好きなら、子どものカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロも試してみよう」というように、次に飲むワインを選ぶヒントにもなります。気になった動物がいたら、ぜひブドウ品種図鑑から、それぞれの特徴をのぞいてみてください。
※品種の親子関係は、DNA解析などの研究にもとづく一般的な説を紹介しています。
カベルネ・フラン猫
ソーヴィニヨン・ブラン羊
カベルネ・ソーヴィニヨンライオン
メルロゴールデン・レトリバー
ピノ・ノワール蝶
ピノ・グリカメレオン
ムニエイルカ
シャルドネユニコーン
ガメイレッサーパンダ
ミュスカデハムスター
サンソーヤギ
ピノタージュシマウマ
ゲヴュルツトラミネールハナカマキリ
シュナン・ブランリス
シルヴァーナー鹿
グリューナー・ヴェルトリーナーコヨーテ
リースリングペンギン
ミュラー・トゥルガウウサギ
シラー黒豹
ツヴァイゲルトカモノハシ
マスカット・ベリーA柴犬
ブラック・クイーンニホンザル
ヤマ・ソーヴィニヨンタヌキ