ローヌは、フランス南東部に広がるワイン産地で、力強さと個性を兼ね備えたワインが生まれる地域です。ローヌ川に沿って南北に広がるこの地方は、北部と南部で気候やワインの特徴が大きく異なるのが面白いところです。北部ではシラーというブドウが主役で、スパイシーで濃厚な赤ワインが造られます。有名な「コート・ロティ」や「エルミタージュ」といった名前は、ワイン好きなら一度は耳にするはず。対して南部では、グルナッシュを主体とした柔らかで果実味あふれる赤ワインが多く、特に「シャトー・ヌフ・デュ・パプ」が世界的に知られています。
ローヌでは赤ワインだけでなく、白ワインやロゼワインも作られており、北部のヴィオニエを使った芳醇な白ワインや、南部の爽やかなロゼも人気があります。気候が温暖な南部では、多彩なブドウ品種が使われることが特徴で、ひとつのワインに10種類以上のブドウがブレンドされることも珍しくありません。
ローヌワインは、ボルドーやブルゴーニュに比べて比較的価格が手ごろなものが多いので、初心者でも挑戦しやすいのが魅力。まずは「コート・デュ・ローヌ」とラベルに書かれたものを選んでみるのがおすすめです。濃厚でスパイシーな赤や、フルーティで飲みやすい白など、自分好みの味を見つけて楽しんでみてください!
おや・・・?
フランスのローヌから、人気のブドウ品種たちが集まってきました。
ワインの味はブドウ品種に左右されるので、ワインを飲むときはこの子たちの特徴を感じてみてください!
シラー/シラーズ(赤ワイン)
シラー/シラーズを動物に例えるなら、ピリピリとした雰囲気溢れる「黒豹」。
力強さならブドウ界随一!そのうえ、コショウのようなスパイシーさも兼ね備えている、とっても大胆なブドウ品種。しかも、フランスなどではシラーと呼ばれて、オーストラリアなどではシラーズと呼ばれているという、陰の実力者のような二面性を兼ね備えているという・・・。
この濃厚でスパイシーな個性は、大地を駆ける黒豹のように大胆かつしなやかに、あなたのハートを鷲掴みすること間違いなし!やけどしないように気を付けな!
シラー/シラーズの味わいは、パワフルなベリーの果実。
パワフルで複雑。濃密なベリーの味わいが中心にあり、そこにコショウといったスパイスのピリッとした刺激が絡み合います。しかも、熟成させると絹のように滑らかに変化してくれるという。まさに変幻自在の黒豹のようだ・・・。
この味わいは肉料理と完璧にマッチするので、今夜は黒豹のように荒々しく、野性味あふれる食事もいいですねぇ・・・。スパイシーなワインなので、コショウをふんだんに使った料理と組み合わせたらもう・・・(じゅるり)。
シラー/シラーズの香りは、スパイシー。
すでに何度も登場していますが、シラー/シラーズと言えばやはりそのスパイシーな香りが特徴的。ブラックベリーやブルーベリーといったダークフルーツの香りが鼻を過ぎたと思ったら、なんてエキゾチックなスパイス感・・・。これは大人気のブドウ品種と言われるのも納得。
これだけ見ると元気いっぱいの肉食獣って感じですが、熟成させるとレザーやダークチョコレートのような深みまで登場しちゃうんですから、エレガンスさと力強さの両面を備えている黒豹のイメージにピッタリ!
グルナッシュ/ガルナッチャ(赤ワイン)
グルナッシュ/ガルナッチャを動物に例えるなら、陽気で鮮やかな「フラミンゴ」。
派手すぎないけど、明るくて魅力的。陽気な雰囲気がありつつ、どこか優雅で、みんなに愛される存在。フラミンゴが太陽の下でリラックスしているような感じが、グルナッシュ/ガルナッチャのジャムのような甘さ、まったりとした酸味、豊かな果実味という個性にピッタリです。
着飾らなくても、ありのままで美しい。そして何よりも一緒にいて落ち着く・・・。そんなグルナッシュ/ガルナッチャが大好きだ!
グルナッシュ/ガルナッチャの味わいは、陽気な赤い果実。
グルナッシュ/ガルナッチャは、果実味いっぱいでとってもジューシー。イチゴやラズベリーの赤い果実がぱっと広がるような軽やかさがある一方で、ちょっとスパイシーな一面も兼ね備えています。渋み(タンニン)は控えめで、飲みやすいけどしっかり存在感があってバランスがいい感じ。
まるでフラミンゴが優雅に水辺を歩いているような、軽やかさと芯の強さを両方持っています!しかも、糖度が高いためにアルコール度数が上がりやすい。そんな情熱的な一面も見せてくれるとは・・・。
グルナッシュ/ガルナッチャの香りは、イチゴジャム。
鼻に抜ける心地よいイチゴやラズベリーの香り。しかも、抱えきれないほどの果物を煮詰めて作ったジャムのような、凝縮した香りが感じられます。ああ・・・、この香りを感じるだけでどこまでも幸せになれそう。しかも、どことなくスパイシーな香りも漂ってくるとは・・・。
このフラミンゴ、かわいい顔をしているくせになかなかやるようだな・・・。今日はこの美しきフラミンゴと一緒に、心地よくて飲みやすい世界に浸っていこう。
ルーサンヌ(白ワイン)
ルーサンヌを動物に例えるなら、仲間と調和を奏でる「カナリア」。
繊細でデリケートな性質を持ちながら、他の仲間と調和することでその美しい鳴き声が際立つように、ルーサンヌもブレンドされることでワイン全体の魅力を引き立てます。
ルーサンヌは、酸味がしっかりしていて豊かな果実味がある点が特徴ですが、病気に弱く収穫量も状況に左右されるため、単一品種でワインが作られることは少ないです。そのため、マルサンヌやヴィオニエといったブドウ品種とブレンドされることが多いのですが、その味わいといったらもう・・・。
カナリアの持つ儚げな可愛らしさが、ルーサンヌの病気に弱い一面と、上品な味わいに通じます!
ルーサンヌの味わいは、酸味が非常に豊か。
ルーサンヌの味わいは、まるでカナリアのさえずりのように柔らかく、心地よい調和感があります。その中に、森の中でもはっきりとカナリアの声が聞こえるように、しっかりとした酸味があるのが特徴的。
他のブドウ品種とブレンドされることで、しっかりした酸味と豊かな果実味がワイン全体を包み込みこんでくれます。だから君は、フランスのローヌ地方で一緒に育てられているマルサンヌさんやヴィオニエさんとブレンドされることが多いのか!君のハーモニーが、ワイン全体をきりっと豊かなものにしてくれるんだね・・・。
ルーサンヌの香りは、洋ナシや白い花のように繊細。
香りは、カナリアが囀る早朝の森のような穏やかなイメージ。
洋ナシや白い花といった柔らかく上品な香りが漂います。熟成すると、蜂蜜やナッツのような濃厚でリッチな香りが加わり、全体に深みが増します。
香りの面に関しても、他品種とブレンドされることでワイン全体のアロマに複雑さと優雅さをプラスしてくれます。味わいは酸味がしっかりしているのに、香りはこんなに繊細なんて・・・。まさにカナリアの繊細な歌声に、イメージがぴったり合う!
マルサンヌ(白ワイン)
マルサンヌを動物に例えるなら、鮮やかに歌う「インコ」。
カラフルで親しみやすい外見を持ちながら、意外と知的で落ち着いた一面も持ち合わせているインコ。インコがその鮮やかな羽根とさえずりで周囲を明るくするように、マルサンヌも柔らかく豊かな味わいで飲む人を楽しませる存在です。
マルサンヌは、同じくフランスのローヌ地方出身であるルーサンヌとブレンドされることが多いブドウ品種。マルサンヌの単体では重厚だけど主張が強くない特徴に、同じく酸味が強く単体には適さないルーサンヌがベストマッチ。まるで、鳥たちの演奏会を聞いているような華やかさだ!!!
マルサンヌの味わいは、厚みがあって非常に豊か。
マルサンヌはインコの可愛い外見とは裏腹に、力強さを感じさせてくれる重厚な味わいです。
洋ナシやアプリコットのような熟した果実味がまず広がり、そこにナッツのニュアンスが加わります。酸味は控えめで、まろやかでふくよかな口当たりが特徴。全体的にボリューム感がしっかりとしている印象を受けます。
このボリューム感は圧倒的!でも、もっとしっかりとした特徴がほしいだと・・・? 酸味が強いルーサンヌさーん、出番ですよ!!
マルサンヌの香りは、ボリュームのある果実。
香りは、インコが暮らす熱帯の自然を思わせるような明るくリッチな印象。
熟した黄桃や白い花の香りが豊かに広がり、そこにやアーモンド、時には蜂蜜のような甘いニュアンスが重なります。熟成されたものでは、バニラやトーストの香りが加わり、さらに深みを感じさせます。
ここでもやはり、相棒のルーサンヌが登場!ボリュームのあるマルサンヌの香りに、洋ナシや白い花のような繊細な香りがプラスされれば、それはもう天国のような気持ちに・・・。
ヴィオニエ(白ワイン)
ヴィオニエを動物に例えるなら、色鮮やかな「孔雀」。
孔雀は存在感と華やかさを持ち、その美しさに誰もが目を奪われます。ヴィオニエも同じように、とろっとした果実味、桃のようなフルーティーで豊かな香りが飲む人を惹き付けます。
全体的に華やかで豊かで丸みのあるこのワインを飲んでいると、なんだかカラフルで堂々としている孔雀のようなイメージを持ってしまう。ああ、この蜂蜜たっぷりの花畑に浸かっているような幸せな気分を、どこまでもどこまでも噛みしめていたい・・・。
ヴィオニエの味わいは、とろっと熟したトロピカルな果実。
ヴィオニエで作ったワインを口に含むと、熟した桃やアプリコット、マンゴーといったトロピカルフルーツの濃厚な甘みが広がります。その後、ほのかにスパイスやナッツのニュアンスが現れ、全体を丸く引き締めてくれる感じ。酸味は控えめで、口当たりが非常に滑らかで、飲みごたえのある豊かなボディが特徴です。
口の中が南国フルーツで大渋滞だ~~~!南国に旅行したいけどできない・・・、そんなときはヴィオニエでトロピカル気分に浸ってみるのもいいんじゃない?
ヴィオニエの香りは、花畑にいるみたい。
孔雀が華やかな羽を揺らして注目を集めるように、たくさんの花を一面に散らしたような圧倒的な香りが最高。その奥には、やっぱりトロピカルなフルーツの香りも。まるで、フルーツがなっている花畑の中心に、大の字で寝そべっているような気分。
花畑×フルーツ、これで幸せな気分にならないわけがないでしょう。この香りの豊かさは、飲む前から特別な期待感を膨らませてくれますね。・・・もう飲んでいいですか!? 飲んでいいですよね!?