スペインの赤ワインというとリオハが有名ですが、ワイン好きのあいだで「濃厚で力強い赤」として名前が挙がるのが、カタルーニャ地方のプリオラートです。
このページでは、プリオラートのワインの特徴と主なブドウ品種、リオハ・リベラ・デル・ドゥエロとの違い、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
プリオラートのワインをひとことでいうと
・凝縮した、濃くて力強い赤ワインの産地。スペインの北東部、カタルーニャ地方の山あいにあり、リオハと並んで、スペインの格付けの最上位(DOCa)を名乗れる産地です
・主役はガルナッチャ(グルナッシュ)とカリニェナ(カリニャン)。古木から採れる少量のブドウで、果実味がぎゅっと詰まったワインになります
・黒い粘板岩の急な斜面の畑が特徴。「リコレリャ」と呼ばれる土が、ミネラル感のある引き締まった味わいを生みます
プリオラートはどんなところ?
プリオラートは、スペインの北東部、カタルーニャ州のタラゴナ県にあるワインの産地です。地中海から少し内陸に入った山あいにあり、ブドウ畑の多くは急な斜面や段々畑に広がっています。
いちばんの特徴は、「リコレリャ」と呼ばれる黒っぽい粘板岩(スレート)の土です。やせて水はけのよい土のため、ブドウの木は水や養分を求めて根を深く伸ばし、実る量は少なくなります。そのぶん、1粒1粒の味が濃くなり、凝縮感のあるワインが生まれます。
昔からワイン造りが行われてきた土地ですが、急斜面で手間がかかるため、一時は畑が減っていました。その後、この土地の力に注目した造り手たちが高品質な赤ワインを造りはじめ、いまでは世界的に評価される産地になっています。
プリオラートのワインの特徴
造られるワインのほとんどは赤ワインです。ブラックベリーや干したプラムのような濃い果実味、しっかりしたアルコール感とボリューム、そして土のミネラルを感じさせる引き締まった後味が特徴です。樽で熟成させたものも多く、スパイスやチョコレートのような香りが加わります。
同じスペインの赤でも、リオハやリベラ・デル・ドゥエロがテンプラニーリョ主体なのに対し、プリオラートはガルナッチャとカリニェナが主体です。そのため、渋みよりも果実の甘やかさとボリュームが前に出る、濃厚なスタイルのものが多い傾向です。
生産量が少なく手間もかかるため、価格は高めのものが中心です。手ごろに似たスタイルを試したいときは、プリオラートを囲むように広がる隣の産地「モンサン(Montsant)」のワインもおすすめです。同じような品種で造られ、比較的手に取りやすい価格のものが見つかります。
プリオラートの主なブドウ品種
動物のイラストをタップすると、それぞれの品種の詳しい特徴がわかります。
ガルナッチャ/グルナッシュ(フラミンゴ)
プリオラートの主役の黒ブドウで、カタルーニャ語では「ガルナッチャ(Garnatxa)」と書かれます。暑く乾いた土地でもよく熟し、イチゴジャムのような甘やかな果実味とボリュームをワインに与えます。フランスのシャトーヌフ・デュ・パプでも主役になる品種です。
カリニェナ/カリニャン(イノシシ)
ガルナッチャと並ぶ主役の黒ブドウで、カタルーニャでは「サムソ(Samsó)」と呼ばれることもあります。プリオラートには樹齢の高い古木が多く残っていて、色の濃さとしっかりした酸味、野性味のある力強さをワインに加えます。ガルナッチャとブレンドされることが多い品種です。
カベルネ・ソーヴィニヨン(ライオン)
ボルドーを代表する黒ブドウで、プリオラートでは、ガルナッチャやカリニェナに少量をブレンドして使われることがあります。渋みと骨格を加え、ワインをより引き締めます。ほかにシラーやメルロがブレンドされることもあります。
リオハ・リベラ・デル・ドゥエロとの違い
| 産地 | 場所 | 主な品種 | 味わいの傾向 |
|---|---|---|---|
| プリオラート | 北東部・カタルーニャの山あい | ガルナッチャ、カリニェナ | 果実味が凝縮した濃厚な赤。ミネラル感 |
| リオハ | 北部・エブロ川沿い | テンプラニーリョ、ガルナッチャ | 樽熟成によるまろやかな赤 |
| リベラ・デル・ドゥエロ | 北部・ドゥエロ川沿いの高い台地 | テンプラニーリョ(ティント・フィノ) | 色が濃く、渋みのしっかりした力強い赤 |
プリオラートのラベルの見方
ラベルには産地名の「Priorat」と、格付けの表示が書かれています。プリオラートの格付けは、スペイン語では「DOCa(デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ)」、カタルーニャ語では「DOQ」と書かれることが多く、どちらも同じ意味です。
品種名がラベルに書かれていないことも多いので、裏ラベルの「Garnatxa(ガルナッチャ)」「Carinyena(カリニェナ)」「Samsó(サムソ)」などの表示を見ると、どの品種が主体かがわかります。隣の産地のワインには「Montsant」と書かれています。
プリオラートのワインに合う料理
| 料理 | 合わせるポイント |
|---|---|
| ラム肉のロースト | ラムの風味に、ガルナッチャの果実味とスパイス感が合う |
| 牛肉のステーキ | 濃厚なワインのボリュームが、赤身肉のうま味に負けない |
| 焼肉(タレ) | 甘辛いタレに、甘やかな果実味が重なる |
| 煮込み料理(ビーフシチューなど) | じっくり煮込んだ濃い味に、凝縮した果実味が合う |
| 熟成したハードチーズ | マンチェゴなどのコクのあるチーズと好相性 |
アルコール感がしっかりしたワインが多いので、少し低めの温度(夏は軽く冷やす程度)で飲むと、果実味が重くなりすぎずに楽しめます。
よくある質問
プリオラートのワインはなぜ高いのですか?
急な斜面の畑では機械が使いにくく、手作業が多くなるうえ、やせた土と古木のため、とれるブドウの量が少ないからです。少量で凝縮したブドウから造られるため、価格は高めのものが中心になります。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
まずは、プリオラートの造り手が手がける手ごろなクラスのワインや、隣の産地モンサンのワインから試すのがおすすめです。同じガルナッチャとカリニェナのスタイルを、比較的手に取りやすい価格で知ることができます。
白ワインはありますか?
ごく少量ですが造られています。ガルナッチャ・ブランなどの白ブドウから造られ、ふくよかなタイプが多いです。ただし生産量の大半は赤なので、見かけるのはほとんどが赤ワインです。
どのくらい熟成させてから飲むのがいいですか?
濃厚で力強いワインが多いので、若いうちは渋みやアルコール感が強く感じられることがあります。若いワインを飲むときは、デキャンタに移したり、グラスで少し時間をおいたりすると、香りが開いてまろやかになります。






