オーストラリアのシラーズといえばバロッサが有名ですが、海に近いマクラーレン・ヴェイルにも、すばらしい赤ワインがあります。古い木のグルナッシュや、イタリア系の品種にも力を入れている産地です。
このページでは、マクラーレン・ヴェイルのワインの特徴とGSMのブレンドのこと、主な品種、バロッサとの違い、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
マクラーレン・ヴェイルのワインをひとことでいうと
・海に近い南オーストラリア州の産地で、主役はシラーズとグルナッシュです
・古い木のグルナッシュと、GSMと呼ばれるブレンドが持ち味です
・味わいは、黒い果実の濃さに海風のやわらかさ。力強いのに重たくなりすぎません
マクラーレン・ヴェイルはどんなところ?
オーストラリアの南オーストラリア州にある産地です。州都アデレードから南へ車で1時間ほどの場所で、西にはセント・ヴィンセント湾の海、東にはマウント・ロフティ山脈の丘が迫っています。海と丘にはさまれた、ブドウ畑の広がる土地です。
気候は、夏が暖かく乾いて、冬に雨が降る地中海性気候です。暑い日でも午後になると海からの風が吹き、ブドウを冷やしてくれます。ブドウはしっかり熟しながら、味わいに重たさが残りにくいといわれます。
歴史は古く、1838年にジョン・レネルがブドウを植えたのが始まりとされ、南オーストラリア州でも早い時期にワイン造りが始まった土地のひとつです。1870年代にはトーマス・ハーディがティンタラの畑を手に入れ、産地の土台を作りました。
もうひとつの特徴が土です。狭い地域の中に40を超える地質があるといわれ、砂の多い畑と石の多い畑では、同じシラーズでも味わいが変わります。土と味の関係は、テロワールの記事でくわしく紹介しています。
古木のグルナッシュと「GSM」とは?
マクラーレン・ヴェイルで近年とくに注目されているのがグルナッシュです。害虫フィロキセラの被害を受けなかった南オーストラリア州には、樹齢の高いブドウの木が残っています。かつては酒精強化ワインの原料として使われることが多く、1980年代には古い畑の引き抜きも進みましたが、その後に残った畑の価値が見直されました。
もうひとつ覚えておきたいのが「GSM」です。グルナッシュ(Grenache)、シラーズ(Shiraz)、ムールヴェードル(Mourvèdre)の頭文字で、3つの品種を混ぜたブレンドのことです。フランスのローヌ南部の赤ワインに近い組み合わせで、オーストラリアでも人気があります。
グルナッシュの明るい果実味、シラーズの濃さとスパイス、ムールヴェードルの渋みと骨格が重なり、1本の中でいろいろな味が楽しめます。動物に例えると、フラミンゴと黒豹が同じ舞台に立つようなブレンドです。
マクラーレン・ヴェイルの主なブドウ品種
シラーズが最も多く植えられ、近年はグルナッシュへの注目が高まっています。イタリア系の品種に力を入れる造り手が多いのも、この産地らしいところです。
| 品種 | 動物に例えると | マクラーレン・ヴェイルでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| シラー(シラーズ) | 黒豹 | 黒い果実とスパイスの香り。ダークチョコレートにたとえられることも多い |
| グルナッシュ | フラミンゴ | 赤い果実の華やかさ。古い木からは深みのある味わいが生まれる |
| カベルネ・ソーヴィニヨン | ライオン | カシスの果実味がある。シラーズとのブレンドも多い |
| サンジョヴェーゼ | イタリアオオカミ | 酸が生きた赤。暖かい土地に合うイタリア系の品種として広がった |
| フィアーノ/ヴェルメンティーノ | ― | 南イタリアなどの白ブドウ。暑さに負けず、すっきりした白になる |
管理人はシラーが好きなので、濃さがありながら海風で重たくなりすぎないというシラーズは、ぜひ飲み比べてみたい1本です。イタリアワインを勉強中の身としては、オーストラリアの海辺で育つイタリア品種にも興味があります。
バロッサやクナワラとの違い
同じ南オーストラリア州の赤の産地でも、並べると違いがはっきりします。比べると、マクラーレン・ヴェイルは海の影響がいちばんの個性だとわかります。
| 比べる点 | マクラーレン・ヴェイル | バロッサ・ヴァレー | クナワラ |
|---|---|---|---|
| 場所 | アデレードの南、海の近く | アデレードの北東、内陸 | 州の南東の端 |
| 主役の赤 | シラーズ、グルナッシュ | シラーズ | カベルネ・ソーヴィニヨン |
| 気候 | 地中海性で海風が吹く | 暖かく乾いている | 比較的涼しい |
| 味わい | 果実味とスパイスのバランスがよい | 濃厚で力強い | ミントの香りと引き締まった骨格 |
GSMの親にあたるフランスのスタイルを知りたい人は、シャトーヌフ・デュ・パプの記事も見比べてみてください。
代表的な造り手
産地の歴史や、今の流れを知るうえで名前が出てくる造り手を紹介します。
| 造り手 | 知っておきたいこと |
|---|---|
| ダーレンベルグ(d’Arenberg) | 産地を代表する家族経営の造り手。赤い線のラベルと、ユニークな名前のワインで有名 |
| ハーディーズ(Hardys) | トーマス・ハーディが興した老舗。ティンタラの名前も受け継いでいる |
| ウィラ・ウィラ(Wirra Wirra) | 1890年代に始まり、1960年代に復活した造り手。ブレンドの赤「チャーチ・ブロック」で知られる |
| コリオーレ(Coriole) | サンジョヴェーゼやフィアーノなど、イタリア系の品種に早くから取り組んだ |
| ヤンガラ・エステート(Yangarra Estate) | グルナッシュの評価が高く、自然に配慮した栽培に取り組む |
マクラーレン・ヴェイルのラベルの見方
オーストラリアのワインは品種名が書かれているので、読み方はやさしいです。ブレンドは多く使った品種から順に書かれるのが一般的です。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| McLaren Vale | 産地名 | まずはこの文字を探す |
| Shiraz | シラー | 濃い赤が好きな人に |
| GSM | グルナッシュ、シラーズ、ムールヴェードルのブレンド | 順番が変わると主役の品種も変わる |
| Old Vine / Bush Vine | 古い木/株仕立て | 法律で決まった樹齢はなく、基準は造り手ごと |
| Fiano | フィアーノ(白) | いつもと違う白を試したいときに |
マクラーレン・ヴェイルのワインに合う料理
赤は果実味とスパイスがあるので、肉料理や香辛料を使う料理とよく合います。イタリア系の白は、魚介やオリーブオイルの料理に向いています。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| BBQ | シラーズ | スパイスの香りが、焦げ目の香ばしさと重なる |
| ラム肉 | グルナッシュ、GSM | 赤い果実の香りが、ラムの風味をやわらげる |
| 焼肉(タレ) | シラーズ | 濃い果実味が甘辛いタレに負けない |
| カレー | GSM | スパイスの香りがつながり、渋みが強すぎない |
| ピザ | サンジョヴェーゼ | 酸がトマトソースに合う |
| アヒージョ | フィアーノ、ヴェルメンティーノ | すっきりした白が、にんにくとオイルをまとめる |
よくある質問
マクラーレン・ヴェイルとバロッサはどちらを選べばいいですか?
濃厚で力強い赤が飲みたいときはバロッサ、果実味があって少しやわらかい赤が飲みたいときはマクラーレン・ヴェイルを選ぶと、違いがわかりやすいです。どちらも幅があるので、あくまで目安と考えてください。
GSMは重たいワインですか?
しっかりした赤ですが、グルナッシュの果実味が入るぶん、シラーズだけのワインよりも飲みやすく感じることがあります。品種の順番がGで始まるものはグルナッシュが多く、やわらかい印象になりやすいです。
シラーとシラーズは違うブドウですか?
同じブドウです。オーストラリアでは「シラーズ」と呼ぶのが一般的です。味わいの違いはシラーとカベルネ・ソーヴィニヨンの違いでも紹介しています。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
まずはGSMのブレンドがおすすめです。この産地らしさがわかりやすく、肉料理にも合わせやすいです。渋みが苦手な人は、グルナッシュが主役のものを探してみてください。




