クロアチアは、アドリア海に面したワインの国です。アメリカを代表する品種ジンファンデルのふるさととして知られ、海沿いの力強い赤から、内陸のさわやかな白まで、土着の品種を中心に個性豊かなワインが造られています。
このページでは、クロアチアワインの特徴と4つの産地、主なブドウ品種、代表的なワインと造り手、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
クロアチアのワインをひとことでいうと
・アドリア海に長い海岸線を持つ、ジンファンデルのふるさとの国です
・海沿いは力強い赤のプラヴァツ・マリ、内陸はさわやかな白のグラシェヴィナと、東西で味わいが大きく変わります
・魚介に合う白が豊富で、土着の品種を楽しめるのも魅力です
クロアチアはどんなワインの国?
クロアチアは、イタリアとアドリア海をはさんだ向かい側にある国です。古都ドゥブロヴニクなどの観光地で知られ、海岸線に沿って1,000を超える島が連なります。西はスロベニア、北東はハンガリーと接し、周りの国のワイン文化の影響も受けてきました。
ブドウづくりの歴史は古く、海沿いでは古代ギリシャの時代までさかのぼるといわれます。1991年に独立を宣言したあと、内戦の時期を経て、2000年代から家族で営む造り手の質の高いワインが増えました。2013年にはEUに加盟しています。
国内と観光客で飲まれる量が多く、日本で見かける機会はまだ多くありません。専門店やネット通販が主な入り口です。
クロアチアの4つの産地
クロアチアのワイン産地は、海沿いと内陸で性格が分かれます。ここでは大きく4つに分けて紹介します。
| 産地 | 場所 | 主なワイン |
|---|---|---|
| ダルマチア(Dalmacija) | 南部のアドリア海沿いと島々 | プラヴァツ・マリの赤、ポシップの白 |
| イストラ(Istra)とクヴァルネル | 北西部の半島と湾。イタリアの近く | マルヴァジヤの白、テランの赤 |
| スラヴォニア(Slavonija)とドナウ川流域 | 北東部の内陸 | グラシェヴィナの白 |
| 中部の丘陵(Bregovita Hrvatska) | 首都ザグレブの周り | 酸のきれいな白、スパークリング |
夏の暑さと海の光を受けるダルマチアは濃い赤、冬の寒い内陸は酸のある白が中心です。同じ国でも、南と北で別の国のように味わいが変わります。
ジンファンデルのふるさと
クロアチアの名前がワインの世界で広く知られたのは、DNA解析がきっかけです。アメリカを代表するジンファンデルが、ダルマチアの古い品種「ツルイェナク・カシュテランスキ(Crljenak Kaštelanski)」と同じ品種だと分かりました。イタリアのプーリアで造られるプリミティーヴォも同じ品種です。
ツルイェナク・カシュテランスキは、見つかった時点で畑にほとんど残っていなかった品種です。その後、昔の記録に出てくる「トリビドラグ(Tribidrag)」という名前も同じ品種だと分かり、この名前で造る造り手も出てきました。
クロアチアの代表品種プラヴァツ・マリは、この品種の子どもにあたります。動物に例えると、アメリカで人気者になったアメリカワニの故郷が、アドリア海の沿岸だったというわけです。
ダルマチア|急斜面と島々の産地
クロアチアでもっとも個性が強いのが、南部のダルマチアです。石灰岩の斜面が海へ落ちこむ土地で、次のような産地が知られています。
- ペリェシャツ半島(Pelješac):ディンガチ、ポストゥップという急斜面の畑が有名。プラヴァツ・マリの産地
- コルチュラ島(Korčula):白のポシップと、ルンバルダ村のグルクで知られる島
- フヴァル島(Hvar)・ブラチュ島(Brač):日当たりのよい斜面で赤と白が造られる島
- プリモシュテン周辺:石垣に囲まれた畑で、赤のバビッチが造られる
ペリェシャツの南向きの斜面は、太陽の光に、海の照り返しと白い石の照り返しが加わることから「3つの太陽」と表現されることがあります。ブドウがよく熟すため、アルコール度数が高く力強いワインになります。少し重めの赤が好きな管理人としては、気になる産地です。
クロアチアの主なブドウ品種
国際的な品種も育てられていますが、クロアチアならではの楽しみは土着の品種です。
| 品種 | タイプ | 味わいの傾向 |
|---|---|---|
| プラヴァツ・マリ(Plavac Mali) | 赤 | ダルマチアの主役。ドライフルーツのような香りと、しっかりした渋み |
| グラシェヴィナ(Graševina) | 白 | 内陸でもっとも多い品種。青りんごのようなさわやかさ |
| マルヴァジヤ・イスタルスカ(Malvazija Istarska) | 白 | イストラの主役。花の香りと、ほのかな苦み |
| ポシップ(Pošip) | 白 | コルチュラ島で知られる。厚みがあり、魚介に合う |
| テラン(Teran) | 赤 | イストラの赤。酸がはっきりしていて色が濃い |
| バビッチ(Babić) | 赤 | ダルマチア北部の赤。プラヴァツ・マリより引き締まった味わい |
グラシェヴィナは、スロベニアのラシュキ・リズリングと同じ品種です。名前は似ていますが、リースリングとは別の品種です。このほか、クルク島のジュラフティナ、北ダルマチアのデビトといった白も、この国でしか出会いにくい品種です。
知っておきたい代表的なワインと造り手
クロアチアのワインを探すときは、次の名前を手がかりにしてみてください。
- ディンガチ(Dingač):ペリェシャツの急斜面で造られる、プラヴァツ・マリの力強い赤です
- ポストゥップ(Postup):同じ半島の産地で、ディンガチと並んで知られる赤です
- グルギッチ・ヴィナ(Grgić Vina):ナパ・ヴァレーで名を上げたクロアチア出身の醸造家マイク・グルギッチが、故郷に開いたワイナリーです
- クラウトハーケル(Krauthaker):スラヴォニアのクティエヴォの造り手。グラシェヴィナで知られています
- コズロヴィッチ(Kozlović):イストラの家族経営の造り手。マルヴァジヤで知られています
- ビビッチ(Bibich):北ダルマチアの造り手。土着の品種を手がけています
マイク・グルギッチは、1976年の「パリスの審判」でフランスの白を破ったカリフォルニアのシャルドネを手がけた人物です。アメリカのワインの歴史に名を残した醸造家が、クロアチア出身だったことも覚えておきたいところです。
クロアチアワインのラベルの見方
ラベルにはクロアチア語が書かれていることが多いので、次の言葉だけ覚えておくと選びやすくなります。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Vrhunsko vino | 最上位の品質区分 | 品質の目安に |
| Kvalitetno vino | 品質ワイン | 日常に楽しむ1本の目安に |
| Suho / Polusuho | 辛口/やや辛口 | 食事に合わせるなら Suho を |
| Poluslatko / Slatko | やや甘口/甘口 | 甘いものと合わせたいときに |
| Crno vino / Bijelo vino | 赤ワイン/白ワイン | Crno は「黒」の意味だが赤ワインのこと |
| Prošek | 干しブドウから造る甘口 | 食後に。イタリアのプロセッコとは別物 |
クロアチアワインに合う料理
アドリア海の魚介と、イタリアに近い食文化の国です。日本の食卓でも合わせやすい料理がそろっています。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| 牡蠣 | ポシップ | ペリェシャツ半島のストンは牡蠣の産地。厚みのある白が磯の香りに寄り添う |
| 白身魚のアクアパッツァ | マルヴァジヤ | ほのかな苦みが、魚介のだしとトマトの酸を引き締める |
| イカスミのリゾット | ポシップ | コクのあるイカスミに、白の厚みが負けない |
| 生ハム | テラン | はっきりした酸が、ハムの塩気と脂をすっきりさせる |
| ビーフシチュー | プラヴァツ・マリ | 煮込みの濃いコクに、力強い赤が釣り合う |
| ソーセージ | グラシェヴィナ | さわやかな酸が、肉の脂を流してくれる |
よくある質問
クロアチアワインの特徴は何ですか?
海沿いの力強い赤と、内陸のさわやかな白がはっきり分かれていることです。プラヴァツ・マリやグラシェヴィナ、マルヴァジヤなど、土着の品種が主役になっています。
ジンファンデルはクロアチアの品種なのですか?
はい。DNA解析で、ダルマチアの古い品種ツルイェナク・カシュテランスキと同じ品種だと分かりました。別名のトリビドラグとも呼ばれます。詳しくはジンファンデルの記事で紹介しています。
プラヴァツ・マリとジンファンデルは同じですか?
別の品種です。プラヴァツ・マリはジンファンデルの子どもにあたる品種で、親子の関係です。どちらも力強い赤になりやすい点は共通しています。
プロシェクとプロセッコは同じですか?
別のワインです。プロシェクはダルマチアの伝統的な甘口で、干したブドウから造ります。プロセッコはイタリアのスパークリングです。名前が似ているので、買うときに確認してください。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
白ならグラシェヴィナかマルヴァジヤが飲みやすくおすすめです。重めの赤が好きならプラヴァツ・マリを試してみてください。ディンガチのような急斜面の畑のものは、特に力強い味わいです。




