ブルゴーニュの赤ワインの話になると、必ずといっていいほど名前が出てくるのが「コート・ド・ニュイ」です。ロマネ・コンティやシャンベルタンといった有名なワインも、この地区で造られています。
このページでは、コート・ド・ニュイのワインの特徴と、村ごとの味わいの違い、特級畑、ラベルの見方、合う料理を、はじめての人にもわかるように紹介します。
コート・ド・ニュイをひとことでいうと
・フランス・ブルゴーニュの北部にある、世界最高峰のピノ・ノワールの赤ワインを生む細長い丘です
・ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネなど、村ごとに香りや力強さが違うのが魅力で、ロマネ・コンティもこの地区にあります
・造られるワインのほとんどがピノ・ノワールの赤。はじめてなら、地区名の「コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ」や村名のワインから試すのがおすすめです
コート・ド・ニュイってどんなところ?
コート・ド・ニュイは、ブルゴーニュ地方の中心都市ディジョンのすぐ南から、ニュイ・サン・ジョルジュの町の先まで、南北に約20km続く丘のふもとの産地です。南に続くコート・ド・ボーヌ地区とあわせて「コート・ドール(黄金の丘)」と呼ばれ、ブルゴーニュの中でも特に高く評価されるワインが集まっています。地区の名前は、中心の町ニュイ・サン・ジョルジュに由来します。
畑は、丘の東向きの斜面に細い帯のように並んでいます。朝日をしっかり浴びられる東向きの斜面と、石灰岩と粘土が混ざった土が、香り高く繊細なピノ・ノワールを育てます。同じ斜面の中でも、高さや土の違いで畑ごとに味わいが変わるため、ブルゴーニュでは昔から畑一枚ごとに区切って評価してきました。この考え方はテロワールの記事でもくわしく紹介しています。
中世には修道院がこの地のブドウ畑を開き、畑の違いを丹念に記録してきました。ヴージョ村の特級畑「クロ・ド・ヴージョ」は、シトー派の修道士たちが石垣で囲った畑として知られています。
コート・ド・ニュイのワインの特徴
- ほとんどが赤ワイン:造られるワインの大半がピノ・ノワールの赤です。白ワインやロゼもわずかに造られています
- 香り高く、力強さと気品をあわせ持つ:イチゴやチェリー、ラズベリーのような赤い果実の香りに、熟成するとキノコや紅茶、なめし革のような複雑な香りが加わります。渋みはなめらかで、酸味がきれいです
- 村ごとに個性が違う:同じピノ・ノワールでも、村によって力強いタイプから繊細なタイプまで味わいが変わるのが、この地区の楽しさです
- 特級畑(グラン・クリュ)が多い:ブルゴーニュの赤ワインの特級畑の多くがこの地区に集まり、長く熟成できる赤ワインが造られます
コート・ド・ニュイの代表的なブドウ品種
動物のイラストをタップすると、それぞれの品種の詳しい特徴がわかります。
ピノ・ノワール(蝶)|コート・ド・ニュイの主役
皮が薄く、育てるのが難しい繊細な赤ブドウです。色は明るめで渋みが少なく、華やかな香りとなめらかな口当たりが特徴。暑すぎない気候と石灰質の土を好み、コート・ド・ニュイは世界でもっとも高く評価されるピノ・ノワールの産地とされています。ブルゴーニュの赤ワインは、基本的にこの品種1種類だけで造られます。
シャルドネ(ユニコーン)|わずかに造られる白
コート・ド・ニュイでも、シャルドネの白ワインが少しだけ造られています。量は多くありませんが、モレ・サン・ドニやニュイ・サン・ジョルジュの白、特級畑ミュジニーの白などがあります。白ワインの名産地として知られるのは、南に続くコート・ド・ボーヌ地区です。
知っておきたいコート・ド・ニュイの村と特級畑
北から南へ、主な村が並んでいます。村の名前がそのままワインの名前になるので、まずは村ごとの個性を知っておくと選びやすくなります。
| 村(北から南) | 味わいの傾向 | 主な特級畑 |
|---|---|---|
| マルサネ | 果実味が素直で親しみやすい。ロゼも造られる | ― |
| フィサン | しっかりした赤。生産量は少なめ | ― |
| ジュヴレ・シャンベルタン | 力強く骨格のしっかりした赤 | シャンベルタン、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ など |
| モレ・サン・ドニ | 力強さと華やかさの中間 | クロ・ド・タール、クロ・ド・ラ・ロッシュ など |
| シャンボール・ミュジニー | 繊細でエレガント、香りが華やか | ミュジニー、ボンヌ・マール |
| ヴージョ | 村の大半を特級畑が占める | クロ・ド・ヴージョ |
| ヴォーヌ・ロマネ | 華やかでなめらか、ビロードのよう | ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール など |
| ニュイ・サン・ジョルジュ | しっかりして力強い。特級畑はない | ―(1級畑が多い) |
ヴォーヌ・ロマネ村の特級畑「ロマネ・コンティ」は、世界でもっとも有名なワインのひとつです。生産量がとても少なく高価ですが、同じ村の村名ワイン「ヴォーヌ・ロマネ」なら、ずっと身近な価格でこの村の雰囲気を味わえます。
コート・ド・ニュイのワインのラベルの見方
ブルゴーニュのワインは、ラベルに書かれた名前の範囲がせまいほど格が高くなります。格付けのしくみはブルゴーニュの格付けでくわしく紹介しています。
| 格 | ラベルの書き方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 地区名 | Côte de Nuits-Villages(コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ) | 地区内の決められた村のブドウから造る。手頃で入門向き |
| 村名 | Gevrey-Chambertin(ジュヴレ・シャンベルタン) | 村の名前だけが書かれる。村の個性を知るのにぴったり |
| 1級畑 | Chambolle-Musigny 1er Cru Les Amoureuses など | 村名+「1er Cru」+畑の名前 |
| 特級畑 | Chambertin/Clos de Vougeot など | 畑の名前だけが書かれ、村名は書かれない |
村名に特級畑の名前がついた「ジュヴレ・シャンベルタン」のような村もあります。「シャンベルタン」だけなら特級畑、「ジュヴレ・シャンベルタン」なら村名ワイン、と覚えておくと見分けやすいです。
コート・ド・ニュイのワインに合う料理
| 料理 | 合わせ方のポイント |
|---|---|
| 牛肉の赤ワイン煮(ブフ・ブルギニョン) | ブルゴーニュの郷土料理。煮込みのコクに、熟成した赤の香りがよく合う |
| 鴨のロースト | 鴨の脂と赤い果実の香りは、ピノ・ノワールの定番の組み合わせ |
| きのこのソテー・リゾット | 熟成したワインのキノコのような香りと同じ方向を向く |
| 焼き鳥(たれ) | 甘辛いたれと、渋みの穏やかな赤がなじむ |
| すき焼き | 牛肉と割り下の甘みに、果実味のある村名ワインを |
| ウォッシュタイプのチーズ | ブルゴーニュ生まれのエポワスなど、香りの強いチーズと |
コート・ド・ニュイのワインのよくある質問
はじめて飲むなら、どれを選べばいいですか?
まずは「コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ」か、気になる村の村名ワインがおすすめです。力強いタイプが好きならジュヴレ・シャンベルタン、軽やかで華やかなタイプが好きならシャンボール・ミュジニーを選ぶと、村ごとの違いがわかりやすいです。ブルゴーニュ全体を気軽に試すなら、ラベルに「Bourgogne Rouge(ブルゴーニュ・ルージュ)」と書かれたワインから始める方法もあります。
コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの違いは?
どちらもコート・ドールと呼ばれる丘にある地区で、北がコート・ド・ニュイ、南がコート・ド・ボーヌです。コート・ド・ニュイは力強く香り高い赤ワイン、コート・ド・ボーヌはムルソーやモンラッシェなど上質な白ワインと、やわらかい赤ワインで知られています。くわしくはコート・ド・ボーヌのワインの特徴をご覧ください。
何度くらいで飲むとおいしいですか?
ピノ・ノワールの赤は、少し低めの15〜17℃くらいがおすすめです。冷やしすぎると香りが閉じ、温度が高いとアルコール感が目立ちます。香りが華やかなワインなので、口の広いグラスを使うと香りを楽しみやすくなります。温度の目安はワインの温度でも紹介しています。
すぐに飲んでも大丈夫ですか?
村名ワインや地区名のワインは、数年のうちに飲んでも果実味を楽しめます。1級畑や特級畑のワインは、熟成させることで香りが複雑になるものが多く、若いうちは本来の魅力が出きっていないこともあります。熟成の考え方はヴィンテージの記事もあわせてどうぞ。
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