オーストラリアのワインは濃いもの、と思っている人に飲んでほしいのがヤラ・ヴァレーです。メルボルンの近くの涼しい谷で、香り高いピノ・ノワールと引き締まったシャルドネが造られています。
このページでは、ヤラ・ヴァレーのワインの特徴と主な品種、上流と下流の違い、ブルゴーニュとの比較、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
ヤラ・ヴァレーのワインをひとことでいうと
・メルボルンの近くにある、オーストラリアを代表する涼しい産地です
・主役はピノ・ノワールとシャルドネ。濃さより、香りと酸のきれいさが持ち味です
・スパークリングワインの産地としても知られ、シャンパーニュの大手も拠点を置いています
ヤラ・ヴァレーはどんなところ?
オーストラリアの南東、ヴィクトリア州にある産地です。州都メルボルンから北東へ車で1時間ほどの近さで、川沿いの谷に畑が広がっています。「ヤラバレー」「ヤラ・バレー」と書かれることもあります。
オーストラリアのワインには「太陽をたっぷり浴びた濃い味」という印象がありますが、ヤラ・ヴァレーはその反対側にいる産地です。南の海に近く、山に囲まれた谷で、オーストラリアの中では涼しい気候です。朝夕の冷え込みでブドウがゆっくり熟すため、酸がきれいに残ります。
歴史は意外に古く、ヴィクトリア州で最初にブドウが植えられたのは1838年、この谷でのことでした。19世紀にはスイスから来た人たちがワイン造りを広げましたが、20世紀に入ると一度途絶えてしまいます。1960〜70年代に、医師など愛好家たちが小さな畑を始めたことで、産地として復活しました。
メルボルンから日帰りで行けるワイナリーが多く、ヒールズビルの動物園でコアラやカモノハシに会えることもあって、観光地としても人気です。
ヤラ・ヴァレーの主なブドウ品種
涼しい土地に向く品種が中心ですが、昔からのカベルネ系も大切にされています。
| 品種 | 動物に例えると | ヤラ・ヴァレーでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| ピノ・ノワール | 蝶 | チェリーやイチゴの香りに、なめらかな渋み。軽やかで香り高い |
| シャルドネ | ユニコーン | 柑橘や白桃の香りに、引き締まった酸。樽は控えめなものが増えている |
| シラー(シラーズ) | 黒豹 | 濃厚というより、胡椒の香りが立つ中くらいの重さ |
| カベルネ・ソーヴィニヨン | ライオン | メルロなどとのブレンドが多い。復活期からの老舗の得意分野 |
| ムニエ | イルカ | スパークリングに使われ、果実味を加える脇役 |
動物に例えると、朝もやの谷をひらひら飛ぶ蝶と、その奥に静かにたたずむユニコーンの産地です。力強さよりも、繊細さで勝負しているところがこの土地らしさといえます。
ピノ・ノワールは管理人の好きな品種のひとつです。品種そのものの特徴はピノ・ノワールの記事でくわしく紹介しています。
上流と下流で変わる味わい
ヤラ・ヴァレーは川の上流と下流で、標高と土が変わります。ラベルに「Upper Yarra」と書かれたワインを見かけたら、次の違いを思い出してみてください。
- 下流側(Lower Yarra):谷の低い場所で、比較的暖かい。灰色がかった砂や粘土の土が多く、ふくよかな果実味が出やすい
- 上流側(Upper Yarra):標高が高く、より涼しい。赤い火山性の土が見られ、酸がくっきりした、すらりとしたワインになりやすい
同じ造り手が、上流と下流の畑を別々のワインに仕立てていることもあります。一度に比べてみると、土地の違いが味に出ることを実感しやすいはずです。
ブルゴーニュやマールボロとの違い
ピノ・ノワールの産地として比べられることが多いのが、本場のブルゴーニュと、ニュージーランドのマールボロです。
| 比べる点 | ヤラ・ヴァレー | ブルゴーニュ | マールボロ |
|---|---|---|---|
| 場所 | オーストラリア・ヴィクトリア州 | フランス東部 | ニュージーランド南島 |
| ピノ・ノワールの味わい | 熟した赤い果実に、なめらかな渋み | 土や森を思わせる複雑な香り | チェリーのような明るい果実味 |
| 産地の主役 | ピノ・ノワールとシャルドネ | ピノ・ノワールとシャルドネ | ソーヴィニヨン・ブラン |
| ラベルの書き方 | 品種名が書かれている | 村や畑の名前が中心 | 品種名が書かれている |
ブルゴーニュと同じ2品種を育てていますが、ラベルに品種名が書かれているので、はじめてでも選びやすいのがヤラ・ヴァレーの良さです。
代表的な造り手
はじめて探すときの目印になる造り手を紹介します。
| 造り手 | 知っておきたいこと |
|---|---|
| ヤラ・イエリング(Yarra Yering) | 1969年に始まった、産地復活の立役者のひとつ。「ドライ・レッド」の名のブレンドで知られる |
| マウント・メアリー(Mount Mary) | 1970年代に医師が始めた老舗。ボルドー風のブレンドなどが有名 |
| コールドストリーム・ヒルズ(Coldstream Hills) | ワイン評論家のジェームズ・ハリデーが1980年代に立ち上げた造り手。ピノ・ノワールが代表 |
| シャンドン・オーストラリア(Chandon Australia) | シャンパーニュのモエ・エ・シャンドンが1980年代に設立。スパークリングの拠点 |
| ジャイアント・ステップス(Giant Steps) | 畑ごとの違いを見せるピノ・ノワールとシャルドネで人気 |
ヤラ・ヴァレーのラベルの見方
品種名がそのまま書かれているものが多いので、読み方はシンプルです。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Yarra Valley | 産地名 | まずはこの文字を探す |
| Pinot Noir | ピノ・ノワール | 軽やかで香り高い赤 |
| Chardonnay | シャルドネ | 引き締まった辛口の白 |
| Sparkling / Brut | スパークリング/辛口 | 乾杯から食事まで使いやすい泡 |
| Upper Yarra | 川の上流側の畑 | より涼しく、酸のきれいなタイプ |
ヤラ・ヴァレーのワインに合う料理
濃すぎないので、和食や家庭料理にも合わせやすい産地です。赤は鴨や鶏、白は魚介と考えると選びやすくなります。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| 鴨のロースト | ピノ・ノワール | 赤い果実の香りと酸が、鴨の脂に寄り添う |
| サーモンのソテー | ピノ・ノワール | 渋みが穏やかなので、魚の風味を邪魔しない |
| 焼き鳥(塩) | ピノ・ノワール | 軽やかな味わいが、鶏の香ばしさとつり合う |
| すき焼き | ピノ・ノワール | 果実味が割り下の甘みに合い、酸が脂を切る |
| ローストチキン | シャルドネ | すっきりしたコクが、皮の香ばしさを受け止める |
| 牡蠣 | スパークリング | 泡と酸が、磯の香りをさわやかにする |
| 天ぷら | スパークリング | 泡が衣の油をさっぱりさせる |
よくある質問
オーストラリアのワインなのに軽いのはなぜですか?
オーストラリアは広く、気候もさまざまです。ヤラ・ヴァレーは南の海に近い涼しい谷にあるため、ブドウがゆっくり熟し、軽やかで酸のきれいなワインになります。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
香りの華やかなピノ・ノワールがおすすめです。渋みが穏やかで、はじめての赤にも向いています。濃い赤が好きな人は、バロッサ・ヴァレーのシラーズと飲み比べると、同じ国の幅の広さがわかります。
ヤラ・ヴァレーのスパークリングは、シャンパーニュと同じ造り方ですか?
瓶の中で二度目の発酵をさせる、シャンパーニュと同じ方法で造られたものがあります。品種もピノ・ノワールとシャルドネが中心です。造り方の違いはスパークリングワインの製法で紹介しています。
ピノ・ノワールは冷やして飲みますか?
少し冷やすくらいがおいしい温度です。常温が高い時期は、飲む前に冷蔵庫へ短時間入れてください。くわしくはワインの適温をどうぞ。




