「シェリー」という名前は聞いたことがあっても、甘いお酒なのか、辛口なのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。そのシェリーが造られるのが、スペイン南部のヘレスです。
このページでは、ヘレスの特徴とシェリーのタイプごとの味わい、独特の造り方、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
ヘレスのワインをひとことでいうと
・シェリーのふるさと。スペイン南部のアンダルシア地方にある、世界で最も有名な酒精強化ワインの産地のひとつです
・「シェリー」は1つの味ではありません。キリッと辛口のフィノから、干しブドウのように極甘口のペドロ・ヒメネスまで、タイプによって別物のように変わります
・主役の白ブドウはパロミノ。真っ白な土「アルバリサ」と、酵母の膜「フロール」、独特の熟成法「ソレラ」が個性を作ります
ヘレスはどんなところ?
ヘレスは、スペイン南部アンダルシア州のカディス県にある町、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラを中心とした産地です。ここに、海辺の町サンルーカル・デ・バラメダとエル・プエルト・デ・サンタ・マリアを加えた3つの町を結ぶ三角地帯が、シェリー造りの中心になっています。
「シェリー(Sherry)」は英語の呼び名で、町の名前「ヘレス(Jerez)」に由来します。フランス語では「セレス(Xérès)」と書くため、産地名は3つの言葉を並べて「Jerez-Xérès-Sherry」と表記されます。
気候は夏が暑く乾いていますが、このあたりの畑に広がるアルバリサという白い土は、石灰分が多く、冬の雨を蓄えて夏のブドウを支えます。一面が真っ白に見える畑は、この産地ならではの風景です。
シェリーの造り方の特徴
シェリーは、できあがった白ワインにブドウのスピリッツを加えてアルコール度数を高めた酒精強化ワインです。味わいを決めるポイントは、次の2つです。
フロール:酵母の膜が作る辛口
樽に少し空間を残して寝かせると、ワインの表面にフロールと呼ばれる酵母の白い膜が張ることがあります。この膜が空気からワインを守り、ナッツやパンのような独特の香りを生みます。フィノやマンサニーリャは、この膜の下で熟成させた辛口のシェリーです。
ソレラ:古い樽と新しい樽をつなぐ
樽を何段にも積み、いちばん古い段から少しずつ瓶詰めして、減った分を次に古い段から補充していく熟成法がソレラです。古いワインに若いワインが混ざり続けるので、毎年の味わいが安定します。このため、シェリーの多くには収穫年の表示がありません。
シェリーのタイプと味わいの違い
ラベルのタイプ名を見れば、辛口か甘口かがわかります。飲む温度と合わせ方も一緒にまとめました。
| タイプ | 甘さ | 味わい | 飲み方 |
|---|---|---|---|
| フィノ(Fino) | 辛口 | 淡い色。ナッツやパンの香りで、すっきり | よく冷やして食前酒に |
| マンサニーリャ(Manzanilla) | 辛口 | サンルーカル産のフィノのタイプ。潮の香りを感じる繊細さ | よく冷やして魚介と |
| アモンティリャード(Amontillado) | 辛口 | フィノを空気に触れさせてさらに熟成。琥珀色で香ばしい | 少し冷やして、きのこや鶏肉と |
| オロロソ(Oloroso) | 辛口 | 空気に触れさせて熟成。濃い色でコクがある | 涼しい温度で、肉の煮込みと |
| クリーム(Cream) | 甘口 | オロロソなどを甘くしたタイプ。飲みやすい | 冷やしてお菓子と |
| ペドロ・ヒメネス(PX) | 極甘口 | 干したブドウから造る。黒に近い色で濃厚 | バニラアイスにかけて |
はじめての人が「シェリーは苦手」と感じる原因の多くは、辛口を常温で飲むことです。フィノやマンサニーリャは、白ワインのようによく冷やしてみてください。
ヘレスの主なブドウ品種
| 品種 | 使われ方 | 特徴 |
|---|---|---|
| パロミノ | 辛口のシェリーの主役 | この産地の畑の大半を占める白ブドウ。味わいは穏やかで、熟成で個性が出る |
| ペドロ・ヒメネス | 極甘口のシェリー | 収穫後に天日で干して糖分を凝縮させる |
| モスカテル(マスカットの仲間) | 甘口のシェリー | 香りの華やかな甘口になる |
ヘレスのラベルの見方
ラベルでは、まず「Jerez」「Sherry」または「Manzanilla」の文字と、タイプ名(Fino、Oloroso など)を確認します。甘さはタイプ名でほぼ判断できますが、「Dry」「Medium」「Cream」といった表記がある場合もあります。
「VOS」「VORS」は長期熟成の表示で、VOS は20年以上、VORS は30年以上の熟成を示します。また、樽から濾過をほとんどせずに瓶詰めした「En Rama(エン・ラマ)」は、よりフレッシュな味わいのタイプです。
シェリーに合う料理
| 料理 | 合わせたいタイプ | 合わせるポイント |
|---|---|---|
| 生ハム | フィノ | 塩気とうま味に、ナッツの香りが重なる |
| アーモンド・オリーブ | フィノ、マンサニーリャ | 現地の定番のおつまみ |
| 魚介のフライ・天ぷら | マンサニーリャ | 潮の香りと辛口が、揚げものを軽くする |
| きのこ料理 | アモンティリャード | 香ばしさときのこのうま味が合う |
| 肉の煮込み | オロロソ | コクのある味に負けない |
| チョコレート・バニラアイス | ペドロ・ヒメネス | 濃厚な甘さ同士で、デザート代わりに |
よくある質問
シェリーはワインの一種ですか?
はい。ブドウから造った白ワインにスピリッツを加えた酒精強化ワインの一種です。アルコール度数はタイプにより15〜20%前後で、一般的なワインより高めです。
シェリーは甘いお酒ですか?
甘いタイプもありますが、フィノ、マンサニーリャ、アモンティリャード、オロロソは辛口です。甘さはタイプ名で見分けられます。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
辛口が好きならよく冷やしたフィノかマンサニーリャ、甘いものが好きならクリームかペドロ・ヒメネスがおすすめです。ペドロ・ヒメネスは、バニラアイスにかけるだけでデザートになります。
開けたらどのくらい日持ちしますか?
フィノとマンサニーリャは香りが落ちやすいので、冷蔵庫に入れて早めに飲みきりましょう。オロロソや甘口は比較的長く楽しめます。保存の基本は開けたワインの保存方法で紹介しています。
料理にも使えますか?
使えます。辛口のシェリーは、煮込みやソースに少し加えるとコクが出ます。ワインを使った料理全般は料理にワインを使うコツも参考にしてください。




