メンドーサは、アルゼンチンを代表するワイン産地です。「アルゼンチンのマルベック」と聞いて思い浮かべる赤の多くは、ここで造られています。
このページでは、メンドーサのワインの特徴と地区ごとの違い、主な品種、フランスのカオールとの比較、代表的な造り手、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
メンドーサのワインをひとことでいうと
・アンデス山脈のふもとの高地に広がる、アルゼンチン最大のワイン産地です
・主役はマルベック。フランス生まれの品種が、この土地で世界に知られる赤になりました
・味わいは、黒に近い濃い色と、ブラックベリーやプラムの豊かな果実味。渋みはまろやかで、はじめての人にも飲みやすい赤です
メンドーサはどんなところ?
アルゼンチンの西の端、チリとの国境にそびえるアンデス山脈の東側にある州です。国内のワインの約7割がここで造られているといわれ、アルゼンチンワインといえばメンドーサといってもよいほどの中心地です。
畑の多くは標高およそ600〜1,500メートルの高地にあります。年間の降水量は200ミリ前後しかなく、もともとは砂漠のように乾いた土地です。そこへアンデスの雪解け水を水路で引くことで、ブドウ畑が広がってきました。
強い日差しで実がよく熟す一方、標高が高いので夜は涼しくなります。この昼夜の差が、濃い色と果実味を生みながら、酸も残してくれます。空気が乾いていて病気が出にくい反面、ひょうの被害には悩まされる土地です。
マルベックがメンドーサで花開いた理由
メンドーサのブドウ栽培は、16世紀にスペイン人が持ち込んだことから始まりました。大きな転機は1853年です。フランス人の農学者ミシェル・プジェが、マルベックなどのフランス系の苗木をメンドーサに持ち込みました。
19世紀後半に鉄道でブエノスアイレスとつながると、イタリアやスペインからの移民がブドウづくりを広げます。フランスではマルベックの栽培が減っていきましたが、メンドーサでは日差しと乾いた空気を受けて、豊かな果実味の赤を生み出す品種として根づきました。
1990年代以降は、標高の高い畑を開き、輸出向けの品質を追求する造り手が増えました。今ではプジェがマルベックを持ち込んだことにちなみ、4月17日が「マルベック・ワールド・デー」として世界で祝われています。
メンドーサの主なブドウ品種
赤が中心ですが、高地の畑からは白も生まれています。
| 品種 | 動物に例えると | メンドーサでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| マルベック | 熊 | 濃い色にブラックベリーやスミレの香り。渋みはまろやか。この産地の主役 |
| ボナルダ | — | アルゼンチンで多く育てられる赤。やわらかい果実味で親しみやすい。イタリアのボナルダとは別の品種とされる |
| カベルネ・ソーヴィニヨン | ライオン | 熟した果実味に骨格がある。マルベックとのブレンドも多い |
| カベルネ・フラン | 猫 | ウコ・ヴァレーなど高地の畑で注目が高まっている |
| シャルドネ | ユニコーン | 高地の畑では、果実味に引き締まった酸が加わる |
| セミヨン | ナマケモノ | 古い木が残る畑があり、やわらかい口当たりの白が造られる |
動物に例えると、アンデスの雪解け水で育った、大きくておおらかな熊の産地です。管理人は少し重めの赤が好きなので、濃いのに角のないメンドーサのマルベックは、好みの範囲に入りそうです。
ルハン・デ・クージョとウコ・ヴァレーの違い
メンドーサは広い産地なので、地区によって味わいが変わります。ラベルで見かけやすいのは次の地区です。
- ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo):メンドーサ市の南にある伝統の産地。古い木のマルベックが残り、ふくよかな赤が多い
- マイプ(Maipú):メンドーサ市の近く。歴史ある造り手が集まる。チリのマイポ・ヴァレーとは別の場所
- ウコ・ヴァレー(Valle de Uco):南西のアンデス寄り。標高が高く、酸の引き締まった上質な赤と白が生まれる。グアルタジャリやパラヘ・アルタミラなどの地区が知られる
- 東メンドーサ:平らで暖かい地区。生産量が多く、日常向けのワインを支えている
- サン・ラファエル(San Rafael):南部の産地。セミヨンなどの古い畑が残る
ふくよかな赤が好きならルハン・デ・クージョ、すっきりした酸も欲しいならウコ・ヴァレーと覚えると選びやすくなります。
フランスのカオールとの違い
マルベックのふるさとは、フランス南西地方のカオールです。同じ品種でも、土地が変わると印象が変わります。
| 比べる点 | メンドーサ | カオール(フランス) |
|---|---|---|
| 場所 | アルゼンチン西部、アンデスのふもと | フランス南西部、ロット川の周辺 |
| 気候 | 乾燥した高地で、日差しが強い | 海と内陸の影響を受ける温暖な気候 |
| 味わいの印象 | 完熟した果実味が豊かで、渋みはまろやか | 色は濃く、渋みと酸がしっかりしている |
| 飲みごろの印象 | 若いうちから楽しみやすいものが多い | 寝かせて落ち着くものも多い |
| こんなときに | すぐに飲める濃い赤がほしいとき | じっくり肉料理と味わいたいとき |
代表的な造り手とワイン
メンドーサには、100年以上続く老舗から、海外の名門が関わるワイナリーまで、さまざまな造り手がいます。
| 造り手・ワイン | 知っておきたいこと |
|---|---|
| カテナ・サパータ(Catena Zapata) | イタリア移民の家系が1902年に始めた造り手。標高の高い畑の開拓で知られる。手頃な「アラモス」も同じ一族のワイン |
| トラピチェ(Trapiche) | 1883年創業の大手。手頃な1本から上級品まで幅広い |
| ノートン(Norton) | 1895年創業の老舗。イギリス人の技師が始めたワイナリーとして知られる |
| シュヴァル・デ・アンデス(Cheval des Andes) | ボルドーのシャトー・シュヴァル・ブランが関わる、マルベックとカベルネのブレンド |
| ズッカルディ(Zuccardi) | イタリア移民の家系の造り手。ウコ・ヴァレーのワイナリーでも注目を集める |
メンドーサのラベルの見方
アルゼンチンのワインは、品種名と産地名が表のラベルに書かれていることが多いです。標高を書いている造り手もあります。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Mendoza | 産地名(州全体) | まずはこの文字を探す |
| Luján de Cuyo | メンドーサの中の伝統の地区 | ふくよかなマルベックを飲みたいときに |
| Valle de Uco/Uco Valley | 標高の高い地区 | 酸の引き締まった赤や白を飲みたいときに |
| Malbec | 品種名 | アルゼンチンの赤の定番から試すなら |
| Reserva | 上級品につけられることが多い言葉 | 味わいの決め手は造り手と産地なので、ひとつの目安と考える |
メンドーサのワインに合う料理
アルゼンチンは牛肉の国で、炭火で肉を焼く「アサード」が定番です。マルベックは、肉料理全般と好相性です。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| ステーキ | マルベック | まろやかな渋みと果実味が、赤身のうまみを引き立てる |
| バーベキュー | マルベック | 炭火の香ばしさに、濃い果実味が合う。アサードのイメージで |
| 焼肉 | マルベック | たれの甘辛さに、熟した果実味が寄りそう |
| すき焼き | マルベック | 割り下の甘みと牛の脂を、やわらかい渋みが受け止める |
| ローストチキン | シャルドネ | 果実味のある白が、皮の香ばしさとなじむ |
| タイ料理・ベトナム料理 | トロンテス(アルゼンチンの白) | 華やかな香りが、ハーブやスパイスと重なる |
よくある質問
メンドーサはアルゼンチンのどこにありますか?
アルゼンチンの西部で、チリとの国境にあるアンデス山脈の東側です。山の反対側にはチリのマイポ・ヴァレーなどの産地があります。アルゼンチンの産地には、ほかに北部のサルタや南部のパタゴニアがあります。
メンドーサのマルベックはどんな味ですか?
黒に近い濃い色で、ブラックベリーやプラムの果実味が豊かです。見た目のわりに渋みはまろやかで、スミレのような香りが加わることもあります。
マルベックとカベルネ・ソーヴィニヨンの違いは?
どちらも濃い赤ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンはカシスの香りと引き締まった渋みが特徴です。マルベックはより果実味が丸く、渋みがやわらかいので、渋い赤が苦手な人にも試しやすいです。
標高が高いと味はどう変わりますか?
夜の気温が下がるので酸が残りやすく、果実味が濃くても引き締まった味わいになります。強い日差しで皮が厚くなり、色も濃くなりやすいといわれます。ウコ・ヴァレーのワインを飲むと、その違いが分かりやすいです。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
ラベルに「Mendoza」と書かれたマルベックがおすすめです。手頃な価格のものも多く、肉料理と合わせるとよさがよく分かります。慣れてきたら、ウコ・ヴァレーのものと飲み比べてみてください。




