料理のソースの名前で聞いたことはあっても、飲んだことはないという人が多いのがマデイラワインです。大西洋の島で生まれた、とても個性的な酒精強化ワインです。
このページでは、マデイラワインの特徴と甘さの違い、造り方、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
マデイラワインをひとことでいうと
・大西洋の島で造られる酒精強化ワイン。ポルトガル領のマデイラ島のワインです
・加熱しながら熟成させるのが最大の特徴。カラメルやナッツのような香ばしい香りが生まれます
・辛口から甘口まであり、開けても長持ち。少しずつ楽しめるワインです
マデイラ島はどんなところ?
マデイラ島は、ポルトガル本土から南西に遠く離れた、大西洋に浮かぶ火山の島です。地図で見ると、アフリカ大陸の沖に位置しています。
島は山がちで、畑の多くは急斜面に築かれた小さな段々畑です。土は火山由来で、海に囲まれた湿度の高い気候のなかでブドウが育てられています。機械を入れにくい畑が多く、手作業が中心です。
かつて、大西洋を渡る船の寄港地だったことも、このワインの歴史に深く関わっています。
マデイラワインの造り方
マデイラは、発酵の途中や発酵後にブドウから造った蒸留酒を加える酒精強化ワインです。ここまではポートワインと似ていますが、熟成のときにワインを温める点が大きく違います。
もとは、樽に入れたワインを船で運ぶうちに、赤道付近の暑さと揺れで味わいがよくなることに気づいたのが始まりと伝えられています。その変化を島の中で再現したのが、今の造り方です。
| 熟成のしかた | 方法 | どんなワインに |
|---|---|---|
| エストゥファ | タンクの中のワインを温めて熟成させる | 手ごろな価格帯のマデイラに多い |
| カンテイロ | 樽を建物の暖かい場所に置き、自然の熱でゆっくり熟成させる | 長く熟成させる上質なマデイラに多い |
熱と空気にさらされて熟成するため、ふつうのワインが傷む原因をあらかじめ経験したワインともいえます。これが、開けても長持ちする理由です。
マデイラの甘さとブドウ品種
マデイラは、使うブドウの品種名がそのまま甘さの目安になります。伝統的な4品種は、次のように覚えると選びやすくなります。
| 品種 | 甘さ | 味わいの傾向 | 飲むなら |
|---|---|---|---|
| セルシアル(Sercial) | 辛口 | 酸味が鋭く、すっきり | 冷やして食前に |
| ヴェルデーリョ(Verdelho) | やや辛口 | ほのかな甘みとナッツの香り | 食前や軽い料理と |
| ボアル(Boal/Bual) | やや甘口 | ドライフルーツやカラメルの香り | チーズや焼き菓子と |
| マルヴァジア(Malvasia/Malmsey) | 甘口 | 濃厚で、しっかりした酸味もある | 食後のデザートと |
実際に多く造られているのは、ティンタ・ネグラという黒ブドウです。手ごろなマデイラに多く使われ、ラベルには「Dry」「Medium Dry」「Medium Sweet」「Sweet」のように甘さが書かれています。どのタイプにも酸味がしっかりあるので、甘口でもべたつきにくいのがマデイラの魅力です。
マデイラのラベルの見方
甘さに加えて、熟成の長さを示す言葉を見ると味わいの想像がつきます。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Rainwater | 軽やかなタイプの呼び名 | はじめの1本に |
| 5 Years Old | 5年熟成が目安のタイプ | 入門にも料理にも使いやすい |
| 10 Years Old | 10年熟成が目安のタイプ | 香ばしさと複雑さを楽しみたい人に |
| Colheita | 単一の年のブドウで造る。ラベルに年号が入る | 特定の年の味わいを楽しみたい人に |
| Frasqueira | 単一の年のブドウを樽で特に長く熟成 | 記念の年や贈り物に |
マデイラに合う料理
辛口は食前や軽い料理に、甘口は食後に合わせるのが基本です。小さめのグラスで少しずつ楽しみましょう。
| 料理 | 合うタイプ | 合う理由 |
|---|---|---|
| ナッツ | セルシアル、ヴェルデーリョ | 香ばしさが、ナッツの香りと同じ方向で合う |
| 生ハム | セルシアル | 鋭い酸味が、塩気と脂を引き締める |
| コンソメスープ | セルシアル、ヴェルデーリョ | うま味のある温かいスープに、香ばしさが深みを加える |
| ブルーチーズ | ボアル、マルヴァジア | 甘みが、チーズの塩気と強い香りを包む |
| チーズケーキや焼き菓子 | ボアル | カラメルの香りが、焼いた生地の香ばしさになじむ |
| チョコレート | マルヴァジア | 濃い甘みに負けず、酸味が後味を軽くする |
料理の材料としても定番です。肉料理のソースに少し加えると、香ばしさとコクが出ます。余ったワインの使い方は余ったワインの活用法もどうぞ。
ポート・シェリーとの違い
同じ酒精強化ワインでも、個性の出どころが違います。ドウロのポートワインは濃い甘みと果実味、ヘレスのシェリーは熟成のしかたによる幅広いタイプ、マデイラは加熱による香ばしさと鋭い酸味が特徴です。シチリアのマルサラも含めた比較は、酒精強化ワインとはの早見表で紹介しています。
よくある質問
開けたマデイラはどのくらい日持ちしますか?
ふつうのワインよりずっと長く、数か月楽しめるものが多いです。栓をして涼しい場所に置き、香りが弱くなる前に飲みきりましょう。ワインごとの目安は開けたワインは何日もつ?で紹介しています。
マデイラのアルコール度数はどのくらいですか?
20%前後のものが多く、一般的なワインより高めです。度数の目安はワインのアルコール度数も参考にしてください。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
食後に飲みたいなら「Medium Sweet」やボアル、料理と合わせたいなら「Dry」やセルシアルがおすすめです。熟成年数は「5 Years Old」あたりから試すと、マデイラらしい香ばしさがわかりやすいです。
料理用のマデイラと飲むためのマデイラは違いますか?
料理に使うなら、手ごろなものや「Dry」のもので十分です。一方、品種名や熟成年数が書かれたものは、そのまま飲んで香りを楽しむのがおすすめです。
どんな温度で飲めばいいですか?
辛口は少し冷やして、甘口は冷やしすぎない温度で飲むと香りが開きます。温度の考え方はワインの適温もどうぞ。




