オーストリアというと白ワインの印象が強いかもしれませんが、東の端のブルゲンラントは赤ワインと甘口ワインの産地として知られています。
このページでは、ブルゲンラントのワインの特徴と主な品種、産地の分かれ方、ノイジードラー湖の甘口、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
ブルゲンラントのワインをひとことでいうと
・オーストリアでいちばん赤ワインのイメージが強い産地です。ツヴァイゲルトとブラウフレンキッシュが主役です
・ハンガリーとの国境沿いで温暖。果実味のしっかりした赤が育ちます
・ノイジードラー湖のまわりは、貴腐の甘口の名産地でもあります
ブルゲンラントはどんなところ?
ブルゲンラントは、オーストリアの東の端にある州で、南北に細長くハンガリーと接しています。20世紀のはじめまではハンガリーの一部だった土地で、ワインの文化にも隣の国とのつながりが残っています。
東の平原から届く暖かく乾いた空気の影響で、夏は暑く、日差しにも恵まれます。国の北東部の産地が白ワインで知られるのに対して、ブルゲンラントでは赤ワイン用のブドウがしっかり熟します。
北部には、浅く広いノイジードラー湖があります。湖のまわりの景観はハンガリー側とともにユネスコの世界遺産に登録されていて、この湖が生む秋の朝霧が、貴腐ブドウを育てます。
ブルゲンラントの主なブドウ品種
赤の2品種が主役です。白や甘口の品種もありますが、まずはこの2つを覚えると選びやすくなります。
| 品種 | タイプ | 味わいの傾向 |
|---|---|---|
| ツヴァイゲルト | 赤 | サクランボの香りとやわらかな渋み。動物に例えるとカモノハシで、親しみやすいけれど個性もある |
| ブラウフレンキッシュ | 赤 | 黒い果実の香りとスパイス感に、きれいな酸。熟成にも向く |
| ザンクト・ラウレント | 赤 | ピノ・ノワールに似た、やわらかな香りと渋み |
| ヴェルシュリースリング | 白 | さわやかな酸の白。甘口にも使われる。名前は似ているがリースリングとは別の品種 |
| シャルドネ、ヴァイスブルグンダー | 白 | ライタベルクなどで、樽を使ったコクのある白も造られる |
ブラウフレンキッシュは、ハンガリーでは「ケークフランコシュ」と呼ばれ、「雄牛の血」の名で知られるエグリ・ビカヴェールにも使われます。ツヴァイゲルトは、このブラウフレンキッシュとザンクト・ラウレントをかけ合わせて生まれた品種で、3つの赤は親子のような関係です。
ブルゲンラントの中の産地
ブルゲンラントは広く、北と南で個性が変わります。ラベルには「Burgenland」だけでなく、次の産地名が書かれていることも多いので、覚えておくと便利です。
| 産地 | 場所 | 得意なワイン |
|---|---|---|
| ノイジードラーゼー(Neusiedlersee) | 湖の東側 | ツヴァイゲルトの果実味豊かな赤、貴腐の甘口 |
| ライタベルク(Leithaberg) | 湖の西側の丘 | ブラウフレンキッシュの赤、ヴァイスブルグンダーなどの白 |
| ルスト(Rust) | 湖の西岸の町 | 貴腐の甘口「ルスター・アウスブルッフ」 |
| ローザリア(Rosalia) | ライタベルクの南 | ブラウフレンキッシュとツヴァイゲルトの赤、ロゼ |
| ミッテルブルゲンラント(Mittelburgenland) | 中部 | 力強いブラウフレンキッシュ |
| アイゼンベルク(Eisenberg) | 南部 | 引き締まった味わいのブラウフレンキッシュ |
産地名に「DAC」が付くものは、オーストリアの原産地呼称です。たとえば「Mittelburgenland DAC」なら、その産地を代表するブラウフレンキッシュだとわかります。
甘口の名産地ノイジードラー湖
ノイジードラー湖のまわりでは、秋に湖から立ちのぼる霧と、日中の暖かさがくり返されます。この環境でブドウに貴腐菌がつき、水分が抜けて甘みが濃くなります。貴腐ワインの仕組みは貴腐ワインとはでくわしく紹介しています。
なかでも歴史が長いのが、湖の西岸の町ルストで造られる「ルスター・アウスブルッフ」です。ハチミツやアンズを思わせる香りと、甘さを支える酸が特徴です。
| ラベルの表記 | 意味 |
|---|---|
| Beerenauslese | 貴腐などで糖度の高いブドウから造る甘口 |
| Trockenbeerenauslese | 干しブドウのようになった粒から造る、より濃い甘口 |
| Ausbruch | ルストで造られる伝統的な貴腐の甘口 |
| Eiswein | 凍ったブドウから造る甘口(アイスワイン) |
ヴァッハウとの違い
オーストリアの産地として並べて語られるのがヴァッハウです。同じ国でも、得意なワインは大きく異なります。
| 比べる点 | ブルゲンラント | ヴァッハウ |
|---|---|---|
| 場所 | 東部のハンガリー国境沿い | 北東部のドナウ川沿い |
| 得意なワイン | 赤ワイン、貴腐の甘口 | 辛口の白ワイン |
| 主な品種 | ツヴァイゲルト、ブラウフレンキッシュ | グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング |
| 畑の風景 | 湖のまわりの平地や、なだらかな丘 | 川沿いの急な段々畑 |
ブルゲンラントのラベルの見方
甘口の言葉は上の表にまとめました。ここでは、赤や白を選ぶときに役立つ言葉を紹介します。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Burgenland | 産地名 | まずはこの文字を探す |
| Neusiedlersee など | ブルゲンラントの中の産地名 | 好みの産地を覚える目印に |
| DAC | オーストリアの原産地呼称 | その産地らしいワインの印 |
| Blaufränkisch | ブラウフレンキッシュ | スパイス感のある赤 |
| Zweigelt | ツヴァイゲルト | やわらかく飲みやすい赤 |
| Ried | 単一の畑 | 後ろに畑の名前が続く |
ブルゲンラントのワインに合う料理
やわらかなツヴァイゲルトは毎日の料理に、スパイス感のあるブラウフレンキッシュは煮込みや赤身の肉に向きます。甘口はデザートやチーズと合わせましょう。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| 焼き鳥(タレ) | ツヴァイゲルト | やわらかな果実味と渋みが、甘辛いタレに寄り添う |
| ハンバーグ | ツヴァイゲルト | サクランボの香りが、肉汁とソースに合う |
| ビーフシチュー | ブラウフレンキッシュ | 酸とスパイス感が、濃いソースを引き締める |
| 鴨のロースト | ブラウフレンキッシュ、ザンクト・ラウレント | きれいな酸が、鴨の脂をさっぱりさせる |
| ブルーチーズ | 貴腐の甘口 | 甘さが、チーズの塩気を包み込む |
| チーズケーキ | 貴腐の甘口 | ハチミツのような香りが、乳製品のコクと合う |
よくある質問
ブルゲンラントのワインは赤が中心ですか?
オーストリアの中では、赤ワインで最もよく知られる産地です。ただし、ノイジードラー湖周辺の甘口や、ライタベルクの白も見逃せません。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
「Zweigelt」と書かれた赤がおすすめです。渋みがやわらかく、普段の料理に合わせやすい1本です。慣れてきたら、ブラウフレンキッシュと飲み比べてみてください。
ブラウフレンキッシュはどんな人に向いていますか?
渋みの強さよりも、酸とスパイス感が好きな人に向いています。重すぎる赤が苦手な人は、渋くない赤ワインも参考にしてください。
貴腐の甘口はどのくらい飲むものですか?
甘さが濃いので、食後に小さめのグラスで少しずつ楽しむのがおすすめです。開けたあとの保存は開けたワインの保存方法もどうぞ。
どのくらいの温度で飲めばいいですか?
ツヴァイゲルトは少し冷やし、ブラウフレンキッシュはそれより少し高めの温度で。甘口はしっかり冷やすとおいしく飲めます。温度の考え方はワインの適温もどうぞ。




