オーストラリアの中でも、上品なワインの産地として名前が挙がるのがマーガレット・リヴァーです。西の端の海辺で、ボルドーを思わせるカベルネと、引き締まったシャルドネが造られています。
このページでは、マーガレット・リヴァーのワインの特徴と主な品種、白のブレンド「SBS」、ボルドーやクナワラとの違い、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
マーガレット・リヴァーのワインをひとことでいうと
・西オーストラリア州の海に囲まれた、上品なスタイルの産地です
・主役はカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネ。果実味と引き締まった酸のバランスが持ち味です
・セミヨンとソーヴィニヨン・ブランのブレンドも名物で、ボトルには「SBS」「SSB」と書かれることがあります
マーガレット・リヴァーはどんなところ?
オーストラリアの西の端、西オーストラリア州にある産地です。州都パースから南へ車で3時間ほど、海に突き出した半島のような土地に畑が広がっています。「マーガレットリバー」「マーガレット・リバー」と書かれることもあります。
西はインド洋、南は南極海に面していて、海の影響を強く受けます。夏は乾いて暖かく、雨は主に冬に降る、地中海に似た気候です。海風が暑さをやわらげるので、ブドウは酸を保ったまま熟します。オーストラリアの中で、果実味がありながら上品なワインが生まれるのは、この気候のおかげです。
ワインの産地としての歴史は新しく、1960年代に研究者のジョン・グラッドストーンズ博士が「この土地の気候はボルドーに似ている」と発表したのが出発点でした。1967年には医師のトム・カリティが最初のブドウを植え、これが現在のヴァス・フェリックスになりました。
生産量はオーストラリア全体から見ると少ないのですが、品質の高さで広く知られています。サーフィンの名所や、ユーカリの仲間の大木の森でも有名で、自然を楽しむ旅先としても人気の土地です。
マーガレット・リヴァーの主なブドウ品種
ボルドー生まれの品種とシャルドネが中心です。品種の組み合わせを知っておくと、ラベルが読みやすくなります。
| 品種 | 動物に例えると | マーガレット・リヴァーでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| カベルネ・ソーヴィニヨン | ライオン | カシスの果実味に、細かな渋みと、ハーブや杉のような香り |
| メルロ | ゴールデン・レトリバー | カベルネとブレンドされることが多く、味わいをまろやかにする |
| シャルドネ | ユニコーン | 桃やグレープフルーツの香りに、しっかりした酸。樽の使い方は上品 |
| ソーヴィニヨン・ブラン | 羊 | ハーブや柑橘のさわやかな香り。セミヨンとのブレンドが多い |
| セミヨン | ナマケモノ | ブレンドで厚みを加える。ソーヴィニヨン・ブランの香りを支える役 |
動物に例えると、海風の吹く草原で、堂々としたライオンと気品のあるユニコーンが並び立っている産地です。力強さと上品さの両方があるところが、この土地らしさといえます。
シャルドネには「ジンジン」と呼ばれる系統がよく使われています。大きな粒と小さな粒が同じ房に混ざって実る系統で、味わいの凝縮感につながるといわれています。
セミヨン・ソーヴィニヨン・ブラン(SBS)とは?
マーガレット・リヴァーの白で、シャルドネと並んで親しまれているのが、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランのブレンドです。ボルドーの白と同じ組み合わせですが、より果実味がはっきりしています。
ソーヴィニヨン・ブラン単体は、ハーブや柑橘の香りが前に出る軽やかな味わいで、サラダや生の魚介に向いています。セミヨンを合わせると、やわらかな果実の香りと丸みが加わり、焼いた魚介や鶏肉、天ぷらにも合わせやすくなります。
ハーブ感のあるソーヴィニヨン・ブランは管理人の好きな白のひとつです。香りはそのままに、もう少し厚みがほしいときは、ブレンドを選ぶとちょうどよいと思います。
ボルドーやクナワラとの違い
カベルネ・ソーヴィニヨンの産地として、よく比べられるのがボルドーのメドックと、同じオーストラリアのクナワラです。
| 比べる点 | マーガレット・リヴァー | メドック | クナワラ |
|---|---|---|---|
| 場所 | 西オーストラリア州 | フランス・ボルドー左岸 | 南オーストラリア州 |
| 気候 | 海の影響が強く温暖 | 海に近い穏やかな気候 | 比較的涼しい |
| 味わい | 果実味と上品な渋み | 渋みが引き締まり、杉の香り | ミントのような香りと引き締まった味わい |
| ブレンド | メルロなどと合わせることも | メルロなどと合わせるのが基本 | 単一品種のものも多い |
カベルネとメルロの違いはカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの違いでくわしく紹介しています。
代表的な地区と造り手
ラベルに地区名が書かれることもあります。研究者の提案に基づく6つの地区がよく知られ、ここでは名前を見かけやすい3つを紹介します。北と南で気候が少し変わります。
- ヤリンガップ(Yallingup):北側の地区。海に近い斜面に畑が広がる
- ウィルヤブラップ(Wilyabrup):産地の中央寄りで、初期の造り手が集まる地区。力強いカベルネで知られる
- カリデール(Karridale):南側の涼しい地区。シャルドネなどの白で注目されている
はじめて探すときの目印になる造り手も紹介します。
| 造り手 | 知っておきたいこと |
|---|---|
| ヴァス・フェリックス(Vasse Felix) | この産地の草分け。カベルネとシャルドネが代表 |
| カレン(Cullen) | 初期からの造り手で、自然な農法に力を入れていることで知られる |
| モス・ウッド(Moss Wood) | ウィルヤブラップの老舗。カベルネの評価が高い |
| ルーウィン・エステート(Leeuwin Estate) | 絵画をあしらったラベルの「アート・シリーズ」のシャルドネが有名 |
| ケープ・メンテル(Cape Mentelle) | カベルネ、シャルドネ、セミヨンのブレンドなどを幅広く手がける |
マーガレット・リヴァーのラベルの見方
品種名が書かれているので、読み方はシンプルです。ブレンドは多く使った品種から順に書かれるのが、オーストラリアの一般的な書き方です。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Margaret River | 産地名 | まずはこの文字を探す |
| Cabernet Sauvignon | カベルネ・ソーヴィニヨン | 上品で骨格のある赤 |
| Cabernet Merlot | カベルネとメルロのブレンド | まろやかで飲みやすい赤 |
| Chardonnay | シャルドネ | 酸のしっかりした白 |
| SBS / SSB | ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのブレンド | さわやかで合わせやすい白 |
マーガレット・リヴァーのワインに合う料理
酸と果実味のバランスがよいので、料理に合わせやすいワインです。赤は肉料理、シャルドネは鶏や魚、ブレンドの白は魚介と考えると選びやすくなります。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| ステーキ | カベルネ・ソーヴィニヨン | 細かな渋みが赤身の肉のうまみを引き立てる |
| ラム肉 | カベルネ・ソーヴィニヨン | ハーブのような香りが、ラムの香りに合う |
| ハンバーグ | カベルネとメルロのブレンド | まろやかな果実味がソースのコクに寄り添う |
| ローストチキン | シャルドネ | コクと酸が皮の香ばしさと脂を受け止める |
| サーモンのソテー | シャルドネ | 果実味がバターの風味とつり合う |
| カニ | SBS | 柑橘の香りが甘みを引き立てる |
| 天ぷら | SBS | さわやかな酸が衣の油をさっぱりさせる |
よくある質問
マーガレット・リヴァーのワインはボルドーに似ていますか?
気候が近いと言われ、品種の組み合わせも共通しています。ただし、より果実味がはっきりしていて、若いうちから飲みやすいものが多いのが特徴です。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
赤ならカベルネとメルロのブレンド、白ならSBSがおすすめです。どちらも親しみやすく、この産地らしい上品さがわかります。
シラーズは造られていますか?
造られています。ただ、この産地の中心はカベルネとシャルドネです。シラーズを飲み比べるなら、バロッサ・ヴァレーやハンター・ヴァレーもどうぞ。
オーストラリアの中で、どんな人に向いていますか?
濃厚すぎるワインは苦手だけれど、しっかりした味わいも楽しみたい人に向いています。飲む温度で印象が変わるので、ワインの適温も参考にしてください。




