オーストラリアのカベルネ・ソーヴィニヨンといえば、まず名前が挙がるのがクナワラです。「テラロッサ」と呼ばれる赤い土の帯の上で、濃いのに引き締まった赤ワインが造られています。
このページでは、クナワラのワインの特徴とテラロッサのこと、主な品種、バロッサやマーガレット・リヴァーとの違い、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
クナワラのワインをひとことでいうと
・オーストラリアを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンの産地です
・「テラロッサ」という赤い土が、産地の名前を有名にしました
・味わいは、カシスの果実味にミントのような香り。濃いのに引き締まっているのが持ち味です
クナワラはどんなところ?
オーストラリアの南オーストラリア州の南東の端にある産地です。州都アデレードから南東へ車で4時間ほどで、ヴィクトリア州との境に近く、周りには牧草地が広がっています。名前は先住民の言葉で「スイカズラ」を意味するといわれます。
南極海から吹く風の影響を受け、南オーストラリア州の中では涼しい土地です。ブドウがゆっくり熟すので、カベルネ・ソーヴィニヨンは濃い色と果実味を持ちながら、酸も保たれます。
産地の始まりは1890年です。この土地の開拓者ジョン・リドックが果樹園の入植地を開き、ブドウを植えました。その後は長く低迷しましたが、1951年にウィンズ家が古い醸造所を買い取り、産地の名を広めました。1960年代からはカベルネの評価が高まり、今の姿になっています。
赤い土「テラロッサ」とは?
クナワラの名前を語るときに必ず出てくるのが、テラロッサです。イタリア語で「赤い土」という意味で、鉄分を含んだ赤茶色の土のことをいいます。
この土は、白い石灰岩の上に薄く積もっています。水はけがよいうえに、下の石灰岩が水分を蓄えるので、ブドウの根は水不足になりにくいといわれます。水が多すぎず少なすぎないことが、味の詰まった実につながります。
赤い土が広がるのは、南北に細長い帯のような一部の土地だけです。帯の外には黒っぽい土が続いていて、見た目にも境目がわかるほどです。小さな場所ですが、「土が産地を作った」といえる代表的な例です。
土や気候が味に与える影響については、テロワールの記事でくわしく紹介しています。
クナワラの主なブドウ品種
カベルネ・ソーヴィニヨンが主役です。ボルドー生まれの品種と、オーストラリアらしいシラーズが脇を固めています。
| 品種 | 動物に例えると | クナワラでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| カベルネ・ソーヴィニヨン | ライオン | カシスの濃い果実味に、ミントやユーカリのような香り。骨格がしっかりしている |
| シラー(シラーズ) | 黒豹 | 黒い果実とスパイスの香り。バロッサより引き締まった印象 |
| メルロ | ゴールデン・レトリバー | カベルネとブレンドして、味わいをまろやかにする |
| シャルドネ | ユニコーン | 赤の産地の中で造られる白。ほどよいコクがある |
| リースリング | ペンギン | 少量ながら、すっきりした辛口が造られている |
動物に例えると、赤い大地の帯に堂々と立つライオンです。ただ、暑い草原で吠えるライオンではなく、涼しい風の中で背筋を伸ばしている姿が、クナワラのカベルネの印象に近いと思います。
管理人は少し重めの赤が好きなので、濃さと引き締まった感じが両立するというこの産地の持ち味には、とても興味があります。
バロッサやマーガレット・リヴァーとの違い
オーストラリアの赤を選ぶときに、並べて考えると違いがわかりやすい産地です。マーガレット・リヴァーは同じカベルネの産地、バロッサ・ヴァレーはシラーズの産地として知られています。
| 比べる点 | クナワラ | バロッサ・ヴァレー | マーガレット・リヴァー |
|---|---|---|---|
| 場所 | 南オーストラリア州の南東の端 | 南オーストラリア州のアデレード近く | 西オーストラリア州 |
| 主役の赤 | カベルネ・ソーヴィニヨン | シラーズ | カベルネ・ソーヴィニヨン |
| 気候 | 比較的涼しい | 暖かく乾いている | 海の影響が強く温暖 |
| 味わい | ミントの香りと引き締まった骨格 | 濃厚で力強い果実味 | 果実味と上品な渋み |
カベルネとメルロの味わいの違いは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの違いをどうぞ。
代表的な造り手
産地の歴史とともに名前が出てくる造り手を紹介します。
| 造り手 | 知っておきたいこと |
|---|---|
| ウィンズ・クナワラ・エステート(Wynns Coonawarra Estate) | 産地の顔といえる存在。三角屋根の醸造所を描いたラベルと、カベルネの「ブラック・ラベル」が有名 |
| リンデマンズ(Lindeman’s) | オーストラリアの老舗ブランド。クナワラの畑のワインも手がける |
| カトヌック・エステート(Katnook Estate) | カベルネとシラーズの上級品で知られる |
| バルネイヴス(Balnaves of Coonawarra) | 家族経営の造り手。カベルネの評価が高い |
| ペンリー・エステート(Penley Estate) | カベルネを中心に造る造り手 |
クナワラのラベルの見方
品種名がそのまま書かれているので、読み方はシンプルです。ブレンドは多く使った品種から順に書かれるのが、オーストラリアの一般的な書き方です。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Coonawarra | 産地名 | まずはこの文字を探す |
| Cabernet Sauvignon | カベルネ・ソーヴィニヨン | この産地の主役。しっかりした赤 |
| Cabernet Shiraz | カベルネとシラーズのブレンド | オーストラリアらしい組み合わせ。果実味が豊か |
| Cabernet Merlot | カベルネとメルロのブレンド | まろやかで飲みやすい赤 |
| Terra Rossa | 赤い土 | 畑の土壌をアピールする言葉として書かれることがある |
クナワラのワインに合う料理
渋みと果実味がしっかりしているので、肉料理が中心です。ミントのような香りは、ハーブを使った料理とも相性がよいです。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| ステーキ | カベルネ・ソーヴィニヨン | 渋みが赤身の肉のうまみと脂を受け止める |
| ラム肉 | カベルネ・ソーヴィニヨン | ミントのような香りが、ラムとハーブに重なる |
| ローストビーフ | カベルネ・ソーヴィニヨン | 骨格のある味わいが、肉の香ばしさを引き立てる |
| ビーフシチュー | カベルネとシラーズのブレンド | 濃い果実味が、煮込んだソースのコクとつり合う |
| 焼肉(タレ) | カベルネとシラーズのブレンド | 果実味が甘辛いタレに負けない |
| ハンバーグ | カベルネとメルロのブレンド | まろやかさがデミグラスソースになじむ |
| BBQ | シラーズ | スパイスの香りが、焦げ目の香ばしさと合う |
よくある質問
クナワラは何と読みますか?
英語では「Coonawarra」と書き、日本では「クナワラ」と書かれるのが一般的です。ラベルを探すときは、この綴りを目印にしてください。
ミントのような香りはどこから来るのですか?
カベルネ・ソーヴィニヨンの香りの成分や、涼しい気候と関係があるといわれますが、理由ははっきりしていない部分もあります。必ず感じるものではないので、「あれば楽しむ」くらいの気持ちで飲んでみてください。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
まずは手の届きやすい価格帯のカベルネ・ソーヴィニヨンがおすすめです。渋みが気になる人は、カベルネとメルロのブレンドを選ぶと飲みやすくなります。
飲む前に開けておいたほうがいいですか?
若いカベルネは、グラスの中で少し空気に触れさせると香りが開きやすくなります。時間があるときは、デキャンタに移して飲み比べるのも楽しいです。




