新潟は米と日本酒の印象が強いですが、日本のワインの歴史に欠かせない産地です。日本を代表する黒ブドウ、マスカット・ベリーAが生まれたのは新潟の上越。さらに新潟市の海沿いには、砂地の畑に小さなワイナリーが集まる「新潟ワインコースト」があります。
新潟のワイン造りの特徴
新潟は日本海側の雪国で、冬は雪が多く、夏は湿度が高くなります。ブドウにとっては決して楽な環境ではありません。
この土地でワインを造るために、明治時代に上越の川上善兵衛が、寒さや湿気に強いブドウの品種改良に取り組みました。そこで生まれたのがマスカット・ベリーAやブラック・クイーンです。いまや全国で育てられる日本の代表品種が、新潟から生まれたことになります。
いっぽう、新潟市の海沿いには、砂地の畑に小さなワイナリーが集まる「新潟ワインコースト」があり、ヨーロッパ系の品種で新しいワイン造りが進んでいます。「歴史ある上越」と「新しい海辺」の二つの顔を持つのが新潟のワインです。
マスカット・ベリーAのふるさと・上越
上越市の岩の原葡萄園は、川上善兵衛が明治時代に開いたワイナリーです。善兵衛は生涯で1万回を超える交配を行ったといわれ、「日本のワインぶどうの父」と呼ばれています。
雪国ならではの工夫として、冬の雪を蔵にためて、その冷気でワインを冷やす「雪室(ゆきむろ)」も知られています。電気のない時代に、雪をワイン造りに生かした知恵です。
海辺の産地・新潟ワインコースト
新潟市西蒲区の角田浜(かくだはま)周辺は、日本海に面した砂地の産地です。1990年代にワイナリーが開かれたのをきっかけに、周辺に小さな造り手が集まり、「新潟ワインコースト」と呼ばれるようになりました。
砂地は水はけがよく、雨や湿気の多い新潟でもブドウの根が水を吸いすぎにくいのが利点です。スペインの海辺の品種アルバリーニョは、この海沿いの産地を代表する白ワインのひとつになっています。
代表的なブドウ品種
- マスカット・ベリーA:新潟で生まれた日本の黒ブドウ。いちごのような香りの、軽やかな赤ワインに
- ブラック・クイーン:同じく新潟生まれ。色が濃く、酸のしっかりした赤ワインになる
- アルバリーニョ:スペイン生まれの白ブドウ。海沿いの砂地で、さわやかな酸と潮の香りを思わせる白ワインに
- シャルドネ、ピノ・ノワール:ワインコーストを中心に、ヨーロッパ系の品種も育てられている
新潟のワインに合う料理
新潟は日本海の魚と米どころの料理が豊富です。魚には海辺の白、甘辛い味つけには新潟生まれの赤が合わせやすいです。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| 日本海の刺身・寿司 | アルバリーニョ | さわやかな酸と塩気を感じる味わいが、白身魚の繊細なうま味を引き立てる(刺身に合うワイン・寿司に合うワイン) |
| のどぐろの塩焼き | アルバリーニョ、シャルドネ | 脂ののった焼き魚を、すっきりした酸がさっぱりさせる(焼き魚に合うワイン) |
| 鮭の焼き漬け | ピノ・ノワール、シャルドネ | 甘辛いたれと鮭の脂に、軽めの赤やコクのある白がなじむ(サーモンに合うワイン) |
| タレカツ丼 | マスカット・ベリーA | 甘辛いしょうゆだれに、いちごのような果実味がよく合う |
| 栃尾の油揚げ | マスカット・ベリーA、ブラック・クイーン | 香ばしく焼いた大きな油揚げに、果実味のある赤が寄りそう |
新潟と山梨・山形のワインの違い
日本のワイン産地のなかでも、新潟は「品種を生んだ産地」という点で特別な存在です。
| 産地 | 特徴 | 代表的な品種 |
|---|---|---|
| 新潟 | 日本海側の雪国。上越の歴史ある産地と、海辺の砂地の新しい産地 | マスカット・ベリーA、ブラック・クイーン、アルバリーニョ |
| 山梨 | 盆地で日照に恵まれる。日本ワイン発祥の地 | 甲州、マスカット・ベリーA |
| 山形 | 盆地で昼夜の寒暖差が大きい。果樹王国 | デラウェア、マスカット・ベリーA |
日本ワインの表示ルールは日本ワインと国産ワインの違い、日本のほかの産地は日本のワインで紹介しています。
よくある質問
マスカット・ベリーAは新潟生まれですか?
はい。上越の川上善兵衛が、アメリカ系のブドウとヨーロッパ系のブドウをかけ合わせて生み出しました。いまは山梨をはじめ全国で育てられ、日本でいちばん多く造られる赤ワイン用の品種のひとつになっています。
新潟は日本酒の産地なのに、ワインもおいしいのですか?
雨や雪の多さはブドウには厳しい条件ですが、雪国に強い品種づくりや、水はけのよい砂地の畑を生かして、評価の高いワインが造られています。日本酒とワインを飲みくらべるのも、新潟ならではの楽しみ方です。
新潟のワイナリーは見学できますか?
見学や試飲、レストランを併設しているワイナリーもあります。営業日や予約の有無はワイナリーごとに違うので、出かける前に公式サイトで確認してください。








