カサブランカ・ヴァレーは、チリの太平洋に近い谷にあるワイン産地です。チリといえば濃い赤の印象が強いですが、ここは海の冷気を受けて、さわやかな白が生まれる涼しい土地です。
このページでは、カサブランカ・ヴァレーのワインの特徴と涼しい気候の理由、主な品種、マールボロやサンセールとの違い、代表的な造り手、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
カサブランカ・ヴァレーのワインをひとことでいうと
・太平洋に近い、チリを代表する涼しいワイン産地です
・主役はソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ。赤ではピノ・ノワールやシラーも知られています
・味わいは、さわやかな酸と柑橘の香り。「チリは濃い赤の国」という印象を変えた産地です
カサブランカ・ヴァレーはどんなところ?
チリの中央部、首都サンティアゴと港町バルパライソの間にある谷の産地です。太平洋までは30kmほどの距離で、サンティアゴからは車で1時間ほどと、ワイナリー巡りにも行きやすい場所です。
チリの沖には南極方面から冷たいフンボルト海流が流れています。この海の冷気が朝霧や海風となって谷に入ってくるため、緯度のわりに夏も涼しく、ブドウはゆっくり熟します。同じチリでも、内陸のマイポ・ヴァレーとはまるで違う気候です。
1980年代に生まれた新しい産地
チリのワインづくりは16世紀から続いていますが、カサブランカの歴史はとても新しく、本格的にブドウが植えられたのは1980年代のことです。チリの醸造家パブロ・モランデがこの土地の涼しさに注目し、シャルドネなどを植えたのが始まりとされています。
当時のチリのワイン産地は、アンデスから川の水を引ける内陸が中心でした。カサブランカにはアンデスの雪解け水が流れる大きな川がなく、畑に使える水が限られています。春の霜の被害も受けやすく、決して育てやすい土地ではありません。
それでも、涼しい土地ならではの酸のある白が高く評価され、多くの造り手が畑を開きました。今では、チリのワインの幅を広げた産地として知られています。
カサブランカ・ヴァレーの主なブドウ品種
白が中心の産地ですが、涼しさを生かした赤も増えています。
| 品種 | 動物に例えると | カサブランカ・ヴァレーでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| ソーヴィニヨン・ブラン | 羊 | グレープフルーツやハーブの香りと、すっきりした酸 |
| シャルドネ | ユニコーン | 柑橘や白桃の香り。樽を使っても酸が保たれる |
| ピノ・ノワール | 蝶 | イチゴやチェリーの香りで、軽やかな口当たり |
| シラー | 黒豹 | 黒こしょうのスパイスが際立つ、引き締まった味わい |
動物に例えると、朝霧の中を静かに歩く羊の産地です。管理人はハーブ感のあるソーヴィニヨン・ブランが好きなので、海風を受けたカサブランカの1本は気になる存在です。
マールボロやサンセールとの違い
ソーヴィニヨン・ブランの名産地は世界にいくつもあります。カサブランカを、代表的な2つの産地と比べてみましょう。
| 比べる点 | カサブランカ・ヴァレー | マールボロ | サンセール |
|---|---|---|---|
| 場所 | チリ中央部の太平洋寄り | ニュージーランド南島の北東 | フランス・ロワール地方の東部 |
| 気候 | 海の冷気で涼しい。朝霧が出る | 海に近く、日照が多い | 大陸の影響を受ける涼しい気候 |
| 香りの印象 | 柑橘とハーブ | パッションフルーツのような強い香り | 柑橘と、石を思わせる控えめな香り |
| 味わいの印象 | すっきりした酸と、ほどよい果実味 | 香り高く、果実味がはっきりしている | 引き締まって上品 |
| 選びやすさ | 手頃な価格のものを見つけやすい | 世界中で広く売られている | やや高めのものが多い |
谷の中での違いと、お隣のサン・アントニオ
カサブランカの中でも、海からの距離で味わいの傾向が変わります。さらに海沿いには、涼しい産地がもうひとつあります。
- 谷の西側:海に近く、霧と海風の影響が強い。酸のしっかりした白やピノ・ノワールに向く
- 谷の東側:海から離れるぶん少し暖かい。果実味のふくらみが出やすい
- サン・アントニオ・ヴァレー(レイダなど):カサブランカの南の海沿いの産地。さらに海に近く、きりっとしたソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールで知られる
代表的な造り手
比較的新しい産地なので、涼しい土地のワインに力を入れる造り手が集まっています。
| 造り手 | 知っておきたいこと |
|---|---|
| モランデ(Morandé) | この土地の可能性にいち早く注目したパブロ・モランデが興した造り手 |
| ベラモンテ(Veramonte) | 手に取りやすいシリーズで知られる。有機栽培にも取り組む |
| カサス・デル・ボスケ(Casas del Bosque) | カサブランカに畑をもつ造り手。ワイナリー見学でも知られる |
| ロマ・ラルガ(Loma Larga) | 涼しい土地の赤に力を入れる造り手。シラーやカベルネ・フランなど |
| キングストン・ファミリー(Kingston Family) | 家族で営む小規模な造り手。ピノ・ノワールやシラーで知られる |
カサブランカ・ヴァレーのラベルの見方
表のラベルに品種名と産地名が書かれていることが多いので、まず産地名を探しましょう。チリのワインには、畑が海に近いことを示す言葉が書かれていることもあります。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Casablanca Valley | 産地名 | まずはこの文字を探す |
| Costa | 海に近い畑のワインを示す言葉 | さわやかな白やピノ・ノワールを飲みたいときに |
| Pinot Noir | 品種名 | 軽やかな赤を飲みたいときに |
| Sauvignon Blanc | 品種名 | カサブランカの定番から試すなら |
| Reserva | 上級品につけられることが多い言葉 | 長い熟成の決まりはなく、造り手ごとの目安と考える |
カサブランカ・ヴァレーのワインに合う料理
酸がきれいなので、魚介や野菜を使ったさっぱりした料理によく合います。和食にも合わせやすい産地です。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| 牡蠣 | ソーヴィニヨン・ブラン | 酸がレモンのように働き、海の香りを引き立てる |
| 刺身 | ソーヴィニヨン・ブラン | すっきりした味わいが、白身魚を邪魔しない |
| カルパッチョ | ソーヴィニヨン・ブラン | 柑橘の香りが、オリーブオイルとレモンの風味に合う |
| 天ぷら | シャルドネ | 酸が油を流し、ほどよいコクが衣となじむ |
| サーモン | ピノ・ノワール | 軽やかな赤が、サーモンの脂とけんかしない |
| 鴨肉 | ピノ・ノワール | チェリーのような果実味が、鴨のうまみに合う |
よくある質問
モロッコのカサブランカと関係がありますか?
関係はありません。チリの谷の名前で、たまたま同じ地名です。「カサブランカ」はスペイン語で「白い家」という意味です。ラベルに「Valley」や「Chile」とあれば、チリのワインとわかります。
カサブランカ・ヴァレーは白ワインだけの産地ですか?
白が中心ですが、赤も造られています。特にピノ・ノワールと、涼しい土地らしいスパイシーなシラーが知られています。
チリのソーヴィニヨン・ブランはどんな味ですか?
海に近い産地のものは、柑橘とハーブの香りにすっきりした酸が特徴です。ニュージーランドのものほど香りが強くなく、食事に合わせやすいといわれます。
マイポ・ヴァレーとの違いは?
マイポは内陸の産地でカベルネ・ソーヴィニヨンが主役、カサブランカは海寄りの涼しい産地で白が主役です。同じチリでも、赤と白で得意なものが分かれています。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
ラベルに「Casablanca Valley」と書かれたソーヴィニヨン・ブランがおすすめです。手頃な価格のものも多く、よく冷やして魚料理と一緒に楽しめます。




