サルタは、アルゼンチンの北西部、アンデス山脈のふもとに畑が広がるワイン産地です。香り高い白ワイン、トロンテスの銘醸地カファヤテがあることで知られています。
このページでは、サルタのワインの特徴と標高が味わいを変える理由、主な品種、メンドーサとの違い、代表的な造り手、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
サルタのワインをひとことでいうと
・アルゼンチン北西部、アンデスの高地に畑が広がるワイン産地です
・主役は白のトロンテス。中心地カファヤテは、この品種の銘醸地として知られています
・味わいは、花のように華やかな香りと、さわやかな辛口。赤はマルベックを中心に、色が濃く力強いものが造られます
サルタはどんなところ?
アルゼンチンの北西部にある州で、ワインの中心地は州の南にある町カファヤテです。アンデス山脈の東側に細長く続くカルチャキ渓谷にブドウ畑が点在しています。生産量はメンドーサと比べるとずっと少なく、国内ではごく一部ですが、個性のはっきりしたワインで知られています。
カファヤテの町は標高およそ1,700メートルにあり、畑はそこからさらに高い場所まで続いています。渓谷の奥には標高3,000メートルを超える畑もあり、世界でも最も高いブドウ畑のひとつに数えられています。
雨は少なく、空気はからりと乾いています。ブドウを育てる水は山から引いてきます。砂の多い水はけのよい土が広がり、赤茶色の岩山に囲まれた景色も、この産地の魅力です。
なぜ標高の高さが味わいを変えるの?
カファヤテは南緯26度前後にあり、本来ならブドウづくりには暑すぎる緯度です。それでも上質なワインが生まれるのは、標高の高さが気温を下げてくれるからです。
標高が高い畑では、昼は強い日差しを受けてブドウがよく熟し、夜は気温がぐっと下がります。この昼夜の差のおかげで、香りが豊かなまま、酸も残ります。トロンテスの華やかさとさわやかさが同居するのは、この環境のたまものです。
紫外線が強い土地では、ブドウの皮が厚くなりやすいといわれます。そのため赤は色が濃く、渋みもしっかりしたものになりやすく、同じマルベックでもメンドーサより引き締まった印象を受けることがあります。
サルタの主なブドウ品種
白のトロンテスで有名ですが、畑では赤の品種も多く育てられています。
| 品種 | 動物に例えると | サルタでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| トロンテス | モモンガ | マスカットや白い花の香りに、すっきりした辛口の味わい。この産地の主役 |
| マルベック | 熊 | 濃い色に熟した黒い果実の香り。高地らしい力強い渋みをもつ |
| カベルネ・ソーヴィニヨン | ライオン | 色が濃く骨格がしっかりしている。マルベックとのブレンドも多い |
| タナ | — | 渋みの強い赤。フランス南西部やウルグアイで知られ、カファヤテでも育てられている |
| シラー | 黒豹 | スパイスの香りをもつ赤。高地の畑で少量が造られる |
動物に例えると、高い山の澄んだ空気の中を滑空するモモンガの産地です。管理人は、花のような香りの白より赤に手が伸びるタイプですが、香りは華やかなのに味わいは辛口というトロンテスの意外さは、白が好きな人に教えたくなる個性です。
カファヤテとカルチャキ渓谷の地区
ラベルには州名の「Salta」より、町や渓谷の名前が書かれていることも多いです。
- カファヤテ(Cafayate):サルタのワインの中心地。多くの造り手が集まり、トロンテスの産地として最も名が知られている
- カルチャキ渓谷(Valles Calchaquíes):サルタ州から南の州にまたがる長い渓谷。カファヤテもこの渓谷の中にある
- モリノス(Molinos):渓谷の奥の高地。歴史ある造り手のコロメがあり、標高のさらに高い畑が見られる
- カチ(Cachi):渓谷の北寄りの町。少量ながら、高地のワインが造られている
まずは「Cafayate」と書かれたトロンテスを探すと、この産地らしい味わいに出会いやすいです。
メンドーサとの違い
同じアルゼンチンの高地の産地でも、メンドーサとサルタでは得意なものが違います。
| 比べる点 | サルタ | メンドーサ |
|---|---|---|
| 場所 | アルゼンチン北西部 | アルゼンチン西部、チリとの国境側 |
| 生産量 | 少ない | 国内最大 |
| 畑の標高 | およそ1,700メートル以上が中心 | およそ600〜1,500メートルが中心 |
| 代表する品種 | 白のトロンテス | 赤のマルベック |
| 赤の印象 | 色が濃く、渋みが力強い | 完熟した果実味が豊かで、渋みはまろやか |
| こんなときに | 香りの華やかな辛口の白を飲みたいとき | やわらかい濃い赤を飲みたいとき |
代表的な造り手
輸入されているものは多くありませんが、次の名前を覚えておくと探しやすくなります。
| 造り手 | 知っておきたいこと |
|---|---|
| コロメ(Colomé) | 1831年創業と伝えられる老舗。スイス出身の実業家ドナルド・ヘスが2001年に買い取り、標高3,000メートルを超える畑でも知られる |
| アマラヤ(Amalaya) | コロメと同じグループのワイナリー。カファヤテの近くで手に取りやすいワインを造る |
| エル・エステコ(El Esteco) | カファヤテに本拠を置く造り手。トロンテスやマルベックを幅広く手がける |
| エチャート(Etchart) | カファヤテの歴史ある造り手。トロンテスの産地としての名を広めてきた |
| ヤコチュヤ(Yacochuya) | ボルドーの醸造コンサルタント、ミシェル・ロランが関わった力強い赤で知られる |
サルタのラベルの見方
アルゼンチンのワインは、品種名と産地名が表のラベルに書かれていることが多いです。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Salta | 州の名前 | まずはこの文字を探す |
| Cafayate | サルタの中心となる町 | トロンテスを選ぶときの目印に |
| Valles Calchaquíes | カルチャキ渓谷 | 高地の産地のワインだと分かる |
| Torrontés | 品種名 | アルゼンチンらしい白を試したいときに |
| Malbec | 品種名 | メンドーサのものと飲み比べると違いが分かりやすい |
サルタのワインに合う料理
サルタの名物は、肉や野菜を生地で包んだエンパナーダです。トロンテスは香りの強い料理やスパイスと好相性なので、日本の家庭料理やアジアの料理にも合わせやすい白です。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| エンパナーダ | トロンテス | 具のスパイスの香りに、華やかな香りが重なる |
| タイ料理・ベトナム料理 | トロンテス | ハーブやライムの香りと、花のような香りがなじむ |
| 春巻き | トロンテス | 揚げ物の油を、さわやかな酸が流してくれる |
| 餃子 | トロンテス | にんにくやしょうがの香りに負けない香りがある |
| スパイスカレー | トロンテス | 香りのある白が、スパイスの刺激を受け止める |
| バーベキュー | マルベック | 炭火で焼いた肉の脂を、高地の赤の力強い渋みが受け止める |
よくある質問
サルタのトロンテスは甘口ですか?
香りは甘そうに感じますが、多くは辛口です。甘いワインが苦手な人にも試してほしい白です。よく冷やして飲み始め、グラスの中で香りが開いていく変化も楽しんでみてください。
トロンテスはどの産地のものを選べばいいですか?
はじめての1本なら、ラベルに「Cafayate」や「Salta」と書かれたものがおすすめです。メンドーサなどでも造られていますが、香りと酸のバランスのよさでカファヤテの名がよく知られています。
スペインのトロンテスと同じ品種ですか?
名前は同じでも、別の品種とされています。アルゼンチンのトロンテスには「リオハーノ」など3つのタイプがあり、サルタで主に育てられているのはトロンテス・リオハーノです。
カファヤテはどう読みますか?
スペイン語の綴りは Cafayate で、日本語では「カファヤテ」と書かれることが多いです。「カファジャテ」と表記される場合もありますが、同じ場所を指しています。
サルタの赤ワインはどんな味ですか?
色が濃く、渋みのしっかりした力強い味わいのものが多いです。マルベックが中心で、渋い赤が好きな人に向いています。やわらかい赤が好みなら、メンドーサのマルベックから試すとよいでしょう。




