カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンは、名前のよく似た赤ワインのブドウ品種です。じつはカベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンの「親」にあたる品種。ボルドーでは一緒にブレンドされることも多いのですが、それぞれ単独で飲むと、重さも香りもはっきり違います。
このサイトでは、カベルネ・フランをみんなを和ませる「猫」、カベルネ・ソーヴィニヨンを堂々とした「ライオン」に例えています。このページでは、2つの品種の違いを、表とあわせてわかりやすく比べてみます。
ひと目でわかる違い
| カベルネ・フラン | カベルネ・ソーヴィニヨン | |
|---|---|---|
| 動物に例えると | 猫(しなやかで親しみやすい) | ライオン(堂々として力強い) |
| 親子の関係 | カベルネ・ソーヴィニヨンの親 | カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの子 |
| 重さ | ほどよい(ミディアムボディが中心) | しっかり重い(フルボディが中心) |
| 渋み | 穏やか〜中くらい | 強い |
| 香り | ラズベリーなどの赤い果実、スミレ、ピーマン、鉛筆の芯 | カシス、ブラックベリーなどの黒い果実、ミント、杉 |
| 熟す時期 | 早め(涼しい産地でも熟しやすい) | 遅め(温暖な産地が向く) |
| 単独のワインの代表的な産地 | フランス・ロワール(シノン、ブルグイユ、ソーミュール・シャンピニーなど) | フランス・ボルドー左岸、アメリカ・ナパ・ヴァレー、チリなど |
| 合う料理 | 豚肉のロースト、焼き鳥、ラタトゥイユ、焼き野菜 | ステーキ、焼肉、ローストビーフ |
違い1:じつは親子の関係
1990年代のDNA解析で、カベルネ・ソーヴィニヨンは、カベルネ・フランと白ブドウのソーヴィニヨン・ブランが自然に交配して生まれた品種だと分かりました。つまり、カベルネ・フランはカベルネ・ソーヴィニヨンの親にあたります。名前に「ソーヴィニヨン」が入っているのも、この親子関係を知ると納得ですね。もう一方の親についてはソーヴィニヨン・ブランの記事で紹介しています。
しなやかな猫と、堂々としたライオン。同じネコ科の親子のように、似ているところを持ちながらも、性格はかなり違います。
違い2:重さと渋み
いちばん分かりやすい違いは重さと渋み(タンニン)です。カベルネ・ソーヴィニヨンは粒が小さく果皮が厚いため、渋みがたっぷりで、骨格のしっかりした重いワインになります。カベルネ・フランは果皮が比較的薄く、渋みは穏やか。ミディアムボディの、すっと飲めるワインが多くなります。
「赤ワインの渋みが少し苦手」「重すぎるワインは疲れる」という人は、カベルネ・フランから試すのがおすすめです。渋みについてはタンニンとはでくわしく解説しています。
違い3:香り
どちらの品種にも、ピーマンのような青っぽい香りがあるのが共通点です。ただ、カベルネ・フランのほうが、この青っぽさやハーブのような爽やかさが前に出やすいのが特徴。果実はラズベリーなどの赤い果実が中心で、スミレの花や鉛筆の芯のような香りが加わります。
カベルネ・ソーヴィニヨンは、カシスやブラックベリーなどの黒い果実が中心で、ミントや杉のような香りが加わります。熟成すると、たばこや革のような香りも出てきます。
違い4:育つ土地と産地
カベルネ・フランは、芽吹きも熟すのもカベルネ・ソーヴィニヨンより早めです。そのため、涼しい土地でも熟しやすく、フランス・ロワール地方では単独で主役になっています。シノンやブルグイユ、ソーミュール・シャンピニーの赤ワインがその代表です(フランス(ロワール)のワイン)。
カベルネ・ソーヴィニヨンは熟すのが遅いため、温暖で水はけのよい土地を好みます。ボルドーでは砂利の多い左岸(メドック地区など)が主な産地で、アメリカのナパ・ヴァレーやチリでも力強いワインが造られています。ボルドーの右岸(サン・テミリオンなど)では、メルロとともにカベルネ・フランが重要な役割を担っています(フランス(ボルドー)のワイン)。
違い5:合う料理
しっかりした渋みのカベルネ・ソーヴィニヨンは、脂ののったステーキや焼肉など、味の濃い肉料理と合わせると、渋みが脂をさっぱりさせてくれます(ステーキに合うワイン、焼肉に合うワイン)。
ほどよい重さのカベルネ・フランは、豚肉のローストや焼き鳥、ラタトゥイユや焼き野菜など、肉と野菜を使った料理に合わせやすいのが魅力です。青っぽい香りが野菜の風味となじみます(豚肉料理に合うワイン、焼き鳥に合うワイン)。
管理人が飲んで感じた違い
管理人のいちばんのお気に入りは、ロワールのアンジュー・ソーミュール地区で造られる、ドメーヌ・ド・ロシュヴィルの「ル・プランス」2022(カベルネ・フラン100%、評価:感動)です。飲んだときのメモには「ピーマンのように青っぽい味わいがうまい」「ミディアム8割、フルボディ2割くらいの重さ」と書いていました。
一方、トスカーナ・ボルゲリのテヌータ・グアド・アル・タッソ「イル・ブルチャート」2023(カベルネ・ソーヴィニヨン主体、評価:美味しい)のメモは、「タンニンが豊かで力強い」「黒い果実の香り」「チョコレートのような味わいもあり」。
同じ「カベルネ」でも、フランは軽やかさと青っぽい香り、ソーヴィニヨンは力強さと黒い果実が魅力で、まさに猫とライオンの違いでした。くわしい感想は管理人のワイン日記にまとめています。
どっちを選べばいい?
- 渋みが苦手・食事と気軽に合わせたい:カベルネ・フラン
- ガツンと重い赤ワインが飲みたい:カベルネ・ソーヴィニヨン
- ステーキや焼肉と合わせる:カベルネ・ソーヴィニヨン
- 豚肉・鶏肉・野菜の料理と合わせる:カベルネ・フラン
- ハーブのような爽やかな香りが好き:カベルネ・フラン(ロワールのシノンなど)
- 両方のいいとこどり:ボルドーのブレンドワイン
カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンのよくある質問
カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンは同じブドウですか?
いいえ、別の品種です。カベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンの親にあたる品種で、もう一方の親はソーヴィニヨン・ブランです。
ラベルではどう見分けますか?
品種名が書かれていれば「Cabernet Franc」「Cabernet Sauvignon」で見分けられます。フランス・ロワールのシノン、ブルグイユ、ソーミュール・シャンピニーの赤ワインは、品種名が書かれていなくても、カベルネ・フランが主体です。
初心者はどちらから飲むのがおすすめですか?
渋みが苦手ならカベルネ・フラン、しっかりした赤ワインが好きならカベルネ・ソーヴィニヨンがおすすめです。迷ったら、両方をブレンドしたボルドーの赤ワインから試してみるのもよいでしょう。
それぞれの品種のくわしい特徴は、カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンの記事をご覧ください。カベルネ・ソーヴィニヨンともう1つの相棒の違いは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの違いで比べています。
ほかの品種の比較記事:シャルドネとソーヴィニヨン・ブランの違い/ピノ・ノワールとガメイの違い/リースリングとゲヴュルツトラミネールの違い/ネッビオーロとサンジョヴェーゼの違い/ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンの違い/シラーとカベルネ・ソーヴィニヨンの違い/シャルドネとリースリングの違い。
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