スロベニアは、イタリアの東隣にある小さなワインの国です。日本ではまだなじみが薄いものの、白ブドウを皮ごと発酵させるオレンジワインの本場のひとつとして、世界のワイン好きに注目されています。
このページでは、スロベニアワインの特徴と3つの産地、主なブドウ品種、代表的なワインと造り手、ラベルの見方、合う料理を、初心者向けにわかりやすく紹介します。
スロベニアのワインをひとことでいうと
・イタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアに囲まれた、小さなワインの国です
・レブラの白と、皮ごと発酵させるオレンジワインで、世界のワイン好きに注目されています
・味わいは3つの産地で大きく変わります。西は厚みのある白、北東はさわやかな白、南東は軽い赤が特徴です
スロベニアはどんなワインの国?
スロベニアは、イタリアの東隣にある国で、面積は四国より少し大きいくらいです。アルプスの山々、アドリア海、ハンガリーへ続く平原という3つの地形が出会う場所にあり、小さな国の中で気候が大きく変わります。
ブドウづくりの歴史は古く、ワインの歴史の長い地域のひとつです。旧ユーゴスラビアの時代を経て、1991年に独立してから、家族で営む造り手の個性的なワインが外国でも知られるようになりました。
国内で飲まれる量が多く、日本で見かける機会はまだ多くありません。それでも、オレンジワインの広がりとともに、専門店などでスロベニアの名前を目にすることが増えています。
スロベニアの3つの産地
スロベニアのワイン産地は、大きく3つに分かれます。隣の国の影響もあり、それぞれに違う顔を持っています。
| 産地 | 場所 | 主なワイン |
|---|---|---|
| プリモルスカ(Primorska) | 西部。イタリアとの国境からアドリア海まで | レブラの白、オレンジワイン、テランの赤 |
| ポドラウイェ(Podravje) | 北東部。オーストリアやハンガリーの近く | ソーヴィニヨン・ブランなどのさわやかな白 |
| ポサウイェ(Posavje) | 南東部。サヴァ川の流域でクロアチアの近く | 軽い赤のツヴィチェク、スパークリング |
プリモルスカ|イタリアと地続きの産地
もっとも注目を集めているのが、西部のプリモルスカです。さらに次の4つの地区に分かれます。
- ゴリシュカ・ブルダ(Goriška Brda):イタリアのフリウリのコッリオと国境をはさんで続く丘。レブラとオレンジワインで有名
- ヴィパヴァ・ヴァレー(Vipavska dolina):強い風「ブラ」が吹く谷。土着の品種ゼレンやピネラが造られる
- カルスト(Kras):石灰岩の台地に赤い土が広がる地区。赤のテランが名物
- スロベニア・イストラ(Slovenska Istra):アドリア海に面した地区。マルヴァジアやレフォシュクが中心
ブルダの丘とイタリアのコッリオは、もともと同じ土地のつながりです。今は国境で分かれていますが、畑の風景や品種には共通するところが多くあります。
オレンジワインの本場のひとつ
オレンジワインは、白ブドウを赤ワインのように皮ごと発酵させて造るワインです。琥珀色に近い色と、紅茶やドライフルーツのような香り、ほのかな渋みが特徴です。
この造り方はジョージアの伝統として有名ですが、スロベニアとイタリアの国境の丘でも、昔ながらの方法を見直す造り手が出てきました。今ではブルダやヴィパヴァが、ヨーロッパのオレンジワインを代表する産地のひとつになっています。
スロベニアでよく使われるのがレブラです。皮が厚めのブドウなので、長く皮と触れさせても味わいのバランスをとりやすく、しっかりした飲みごたえのあるワインになります。
スロベニアの主なブドウ品種
国際的な品種に加えて、ほかの国ではあまり見かけない品種も育てられています。
| 品種 | 動物に例えると | スロベニアでの味わいの傾向 |
|---|---|---|
| レブラ(Rebula) | — | イタリアのリボッラ・ジャッラと同じ品種。ブルダの主役 |
| ピノ・グリ | カメレオン | 現地名はシヴィ・ピノ。造り方しだいで白にもオレンジワインにも |
| ソーヴィニヨン・ブラン | 羊 | 北東部のシュタイエルスカなどで造られる、ハーブ感のある白 |
| シャルドネ | ユニコーン | ブルダなど西部で造られる。樽を使った厚みのあるタイプも |
| ラシュキ・リズリング(Laški Rizling) | — | 北東部に多い白。リースリングとは別の品種 |
| レフォシュク(Refošk) | — | 酸のしっかりした赤。カルストではテランの原料になる |
北東部のシポン(Šipon)は、ハンガリーのトカイの主役フルミントと同じ品種です。ヴィパヴァのゼレン(Zelen)やピネラ(Pinela)は、この谷でほぼ造られている土着の白です。
動物に例えると、ピノ・グリのカメレオンが、造り方で色まで変えて見せてくれる国です。ハーブ感のあるソーヴィニヨン・ブランが好きな管理人としては、北東部の白も気になるところです。
北東部の見どころと、世界最古のブドウの木
北東部のポドラウイェには、「シュタイエルスカ(Štajerska)」と呼ばれる地域が広がります。丘の斜面に畑が続き、酸のきれいな白ワインが中心です。甘口のワインも造られています。
この地域の町マリボルには、樹齢400年を超えるといわれるブドウの木があります。「スタラ・トルタ(古い木)」と呼ばれ、現役で実をつける世界最古のブドウの木としてギネス世界記録に認定されています。
知っておきたい代表的なワインと造り手
スロベニアのワインを探すときは、次の名前を手がかりにしてみてください。
- テラン(Teran):カルストの赤。レフォシュクから造られ、はっきりした酸があります。現地では生ハムと合わせる定番です
- ツヴィチェク(Cviček):南東部ドレニスカの伝統的な赤。酸があって軽く、アルコール度数が低めです
- モヴィア(Movia):ブルダの家族経営の造り手。スロベニアの名を外国に広めた存在のひとつです
- マルヤン・シムチッチ(Marjan Simčič):ブルダの造り手。レブラなどの白で知られています
- カバイ(Kabaj):ブルダの造り手。皮ごと発酵させた長い醸しの白で知られています
- バティッチ(Batič):ヴィパヴァの造り手。土着の品種を使ったワインを手がけています
スロベニアワインのラベルの見方
ラベルにはスロベニア語が書かれていることが多いので、次の言葉だけ覚えておくと選びやすくなります。
| ラベルの表記 | 意味 | 選び方 |
|---|---|---|
| Vrhunsko vino ZGP | 最上位の品質区分 | 品質の目安に |
| Kakovostno vino ZGP | 品質ワイン | 日常に楽しむ1本の目安に |
| Suho / Polsuho | 辛口/やや辛口 | 食事に合わせるなら Suho を |
| Polsladko / Sladko | やや甘口/甘口 | 甘いものと合わせたいときに |
| Sivi Pinot | ピノ・グリ | 色の濃いものは皮ごと発酵させている場合も |
| Rebula | レブラ | この国らしい白を飲みたいときに |
スロベニアワインに合う料理
イタリアとオーストリアの食文化が混ざり合う国なので、生ハムやソーセージ、魚介まで、ワインと合わせやすい料理がそろっています。
| 料理 | 合うワイン | 合う理由 |
|---|---|---|
| 生ハム | テラン | はっきりした酸が、ハムの塩気と脂をすっきりさせる |
| ソーセージ | シュタイエルスカの白 | さわやかな酸が、肉の脂を流してくれる |
| 魚のアクアパッツァ | レブラ | 魚介のだしに、白の厚みが寄り添う |
| 鶏の照り焼き | オレンジワイン | ほのかな渋みが、甘辛いたれとなじむ |
| 漬物 | オレンジワイン | 発酵のうまみに、紅茶のような香りが重なる |
| ナッツやドライフルーツのお菓子 | シュタイエルスカの甘口 | やさしい甘さどうしが調和する |
よくある質問
スロベニアワインの特徴は何ですか?
小さな国の中で気候が大きく変わり、産地ごとに味わいが違うことです。西部のレブラやオレンジワイン、北東部のさわやかな白、南東部の軽い赤と、幅広いワインが造られています。
レブラとリボッラ・ジャッラは同じですか?
同じ品種です。スロベニアではレブラ、イタリアのフリウリではリボッラ・ジャッラと呼ばれています。
オレンジワインはどんな人に向いていますか?
白ワインの香りと、赤ワインの軽い渋みの両方を楽しみたい方に向いています。冷やしすぎず、少し高めの温度で飲むと香りがよくわかります。詳しくはオレンジワインとはで紹介しています。
テランはどんなワインですか?
カルスト地区で、レフォシュクから造られる赤ワインです。酸がはっきりしていて、生ハムなど塩気のある料理によく合います。
初心者がはじめの1本を選ぶなら?
まずはレブラの白がおすすめです。さわやかな味が好きなら北東部のソーヴィニヨン・ブランを、個性を楽しみたいならブルダのオレンジワインを試してみてください。




