ネッビオーロとサンジョヴェーゼは、イタリアを代表する2つの黒ブドウです。ネッビオーロは「ワインの王」バローロの品種、サンジョヴェーゼはキャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノの品種。どちらも酸味が豊かで、イタリア料理に欠かせない赤ワインですが、育つ土地も味わいもはっきり違います。
このサイトでは、ネッビオーロを気高い「鷹」、サンジョヴェーゼを人懐っこい「イタリアオオカミ」に例えています。このページでは、2つの品種の違いを、表とあわせてわかりやすく比べてみます。
ひと目でわかる違い
| ネッビオーロ | サンジョヴェーゼ | |
|---|---|---|
| 動物に例えると | 鷹(気高く、近寄りがたいほどの風格) | イタリアオオカミ(すらりとして親しみやすい) |
| 主な産地 | イタリア北部・ピエモンテ州(バローロ、バルバレスコ)、ロンバルディア州(ヴァルテッリーナ) | イタリア中部・トスカーナ州(キャンティ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)、エミリア・ロマーニャ州など |
| 色 | 淡いガーネット。熟成するとレンガ色に | 明るいルビー〜ガーネット |
| 重さ | フルボディ(色の淡さに反して力強い) | ミディアム〜フルボディ(造り方で幅が広い) |
| 渋み | とても強い | 中くらい〜しっかり |
| 酸味 | 高い | 高い |
| 香り | バラ、スミレ、チェリー、熟成するとタールや紅茶 | チェリーなどの赤い果実、ハーブ、熟成すると革や土 |
| 飲み頃 | 長い熟成が必要なものが多い | キャンティなどは若いうちから楽しめる |
| 合う料理 | きのこ料理、牛肉の煮込み、すき焼き | トマトソースのパスタ、ピザ、ハンバーグ |
違い1:育つ土地(北のピエモンテと中部のトスカーナ)
ネッビオーロは、イタリア北西部のピエモンテ州を代表する品種です。アルプスのふもとの丘で育ち、熟すのがとても遅いのが特徴。収穫は秋が深まり、霧(イタリア語で「ネッビア」)が立ちこめるころになるため、これが名前の由来だという説があります。ほかの土地ではなかなかうまく育たず、名産地はほぼピエモンテと、お隣のロンバルディア州のヴァルテッリーナに限られます(ピエモンテのワイン、ロンバルディアのワイン)。
サンジョヴェーゼは、イタリアでいちばん多く栽培されている黒ブドウで、トスカーナ州を中心にイタリア中部の各地で育てられています。キャンティ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノといった有名なワインは、どれもサンジョヴェーゼが主役です(トスカーナのワイン)。名前はラテン語の「ジュピター(ローマ神話の神)の血」に由来するという説があります。
ひとつの土地にこだわる気高い鷹と、イタリアじゅうを駆けまわるオオカミ。育つ場所の広さも、2つの品種の性格をよく表しています。
違い2:色と重さ(見た目にだまされないのがネッビオーロ)
グラスに注ぐと、ネッビオーロは意外なほど色が淡く、オレンジがかったガーネット色をしています。ところが、ひと口飲むと渋みも酸味もとても強く、どっしりとしたフルボディ。「見た目は軽そうなのに、飲むと重い」のがネッビオーロの面白いところです。
サンジョヴェーゼは明るいルビー色で、酸味がいきいきとしていて、渋みはネッビオーロより穏やか。キャンティのように軽やかで食事に合わせやすいものから、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのように長く熟成させた重厚なものまで、造り方によって重さの幅が広いのが特徴です。渋みと酸味についてはタンニンとは、ワインの酸味とはでくわしく解説しています。
違い3:香り
ネッビオーロの香りは、よく「バラとタール」と表現されます。若いうちはバラやスミレの花、チェリーの香りが中心で、熟成すると、タールや紅茶、ドライフラワーのような落ち着いた香りが加わります。
サンジョヴェーゼは、チェリーなどの赤い果実と、ハーブの香りが中心です。熟成すると、革や土のような香りも出てきます。どちらも赤い果実の香りを持ちますが、華やかな花の香りが目立つのがネッビオーロ、果実とハーブの素朴な香りがサンジョヴェーゼ、と覚えておくと分かりやすいでしょう。
違い4:代表的なワインと熟成
ネッビオーロの代表は、「ワインの王」と呼ばれるバローロと、よりエレガントなバルバレスコです。どちらもイタリアの最上級の格付け「DOCG」で、バローロは3年以上の熟成が義務づけられています(バローロとは、DOCGとは)。渋みが強いため、飲み頃になるまで長い時間がかかるワインが多いのも特徴です。
サンジョヴェーゼの代表は、気軽に楽しめるキャンティと、長期熟成のブルネッロ・ディ・モンタルチーノです。キャンティ・クラシコはサンジョヴェーゼを80%以上使うことが決められており、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはサンジョヴェーゼ100%で造られます(キャンティとは)。手ごろな価格帯から高級品まで選べるのは、サンジョヴェーゼの大きな魅力です。
違い5:合う料理
渋みと酸味の強いネッビオーロは、うま味の強い料理と好相性です。ピエモンテでは、きのこやトリュフの料理、牛肉の赤ワイン煮込みと合わせるのが定番。日本の料理なら、甘辛い味つけのすき焼きもよく合います(きのこ料理に合うワイン、すき焼きに合うワイン)。
酸味がいきいきとしたサンジョヴェーゼは、トマトを使った料理と抜群の相性です。トマトソースのパスタやピザ、ハンバーグなど、毎日の食卓に合わせやすいのが魅力です(パスタに合うワイン、ピザに合うワイン、ハンバーグに合うワイン)。
管理人が飲んで感じたこと
管理人はイタリアワインを勉強中で、サンジョヴェーゼはトスカーナのワインを2本飲みました。ピエヴェ・サンタ・レスティトゥータの「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」2020(サンジョヴェーゼ・グロッソ100%、評価:美味しい)は、濃いガーネットの外観に、なめし革やブラックチェリー、バラの香り。メモには「滑らかな口当たりに、心地よいタンニンと酸味。余韻が美しい」と書いていました。
一方、アンティノリの「バディア・ア・パッシニャーノ キャンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネ」2021(サンジョヴェーゼ100%、評価:普通)は、レッドチェリーのような赤い果実と心地よい酸。おいしいけれど、どこかカジュアルに感じました。同じサンジョヴェーゼでも、産地と熟成でここまで印象が変わるのは面白いところです。
ネッビオーロ(バローロ、バルバレスコ)はまだノートに記録がないので、飲んだら感想を追記します。ほかの感想は管理人のワイン日記にまとめています。
どっちを選べばいい?
- 特別な日に、じっくり味わいたい:ネッビオーロ(バローロ、バルバレスコ)
- 普段の食事と気軽に合わせたい:サンジョヴェーゼ(キャンティ)
- トマトソースのパスタやピザと合わせる:サンジョヴェーゼ
- きのこ料理やすき焼きと合わせる:ネッビオーロ
- 手ごろな価格でネッビオーロを試したい:ランゲ・ネッビオーロ
- 熟成した重厚な赤を飲んでみたい:どちらも可(バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)
ネッビオーロとサンジョヴェーゼのよくある質問
バローロとキャンティは同じブドウですか?
いいえ、別の品種です。バローロはネッビオーロ100%、キャンティはサンジョヴェーゼが主体のワインです。
ネッビオーロはなぜ色が淡いのに渋いのですか?
ネッビオーロは、色のもとになる色素が少ない一方で、渋みのもとになるタンニンや酸は多く含む品種です。そのため、淡い色なのにしっかり渋い、というワインになります。
初心者はどちらから飲むのがおすすめですか?
まずはサンジョヴェーゼのキャンティがおすすめです。手ごろな価格のものが多く、渋みも穏やかで、料理に合わせやすいワインです。ネッビオーロを試すなら、バローロより手ごろなランゲ・ネッビオーロから始めるとよいでしょう。
それぞれの品種のくわしい特徴は、ネッビオーロとサンジョヴェーゼの記事をご覧ください。イタリアワイン全体についてはイタリアのワインで紹介しています。
ほかの品種の比較記事:カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロの違い/シャルドネとソーヴィニヨン・ブランの違い/ピノ・ノワールとガメイの違い/リースリングとゲヴュルツトラミネールの違い/カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンの違い/ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンの違い/シラーとカベルネ・ソーヴィニヨンの違い/シャルドネとリースリングの違い。
ほかの品種も見てみる → ブドウ品種図鑑/トップページの「世界のワイン産地めぐり」から探せます。






